ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

生物多様性と子どもの健康の関連解析と健康に直結する自然再興指標の提案(令和 6年度)
Investigation of associations between biodiversity and children’s health and presentation of health related nature positive indice

予算区分
サブテーマ1
研究課題コード
2426BA008
開始/終了年度
2024~2026年
キーワード(日本語)
生物多様性,生態系サービス,子どもの免疫機能,里地・里山・里海,腸内細菌叢,大規模疫学研究
キーワード(英語)
Biodiversity,Ecosystem services,Children,Satochi, Satoyama, Satoumi,Microbiome,Large-scale epidemiological study

研究概要

本研究は、自然環境保全、自然再興(ネイチャーポジティブ)の実現に向けて、自然がわれわれの生存や生活に不可欠な存在であるという価値観の醸成につなげるため、生物多様性と人の健康との直接的な関係を明らかにし、生物多様性保全が人の健康にとって重要であることの科学的根拠を提供することを目的とする。近年、アレルギーなどの免疫疾患の発症が若齢化しており、その原因として、過去数十年での急激な環境の変化が指摘されている。いわゆる「衛生仮説」として自然への接触とアレルギー症状との関連は報告されているが、生物多様性と人の健康との関連を定量的に評価した研究はほとんどない。本研究では、生物多様性の状態の中でも植物相(量と質)と土壌微生物叢に着目し、症例対照及び介入研究による詳細な調査と、大規模疫学調査データを活用した広域での解析を組み合わせて、子どもの免疫機能との関連を明らかにする。植物相の多様性は動物の多様性にも関連しているとされ、また、土壌微生物叢は免疫機能との関連が報告されている腸内細菌叢との関連が考えられる。そこで、本研究では、生物多様性と子どもの免疫機能への影響に関して、植物多様性から土壌微生物叢多様性、さらに腸内細菌叢を介したメカニズムを仮定し、地方と都市部の小中学生を対象とした症例対照研究及び長期キャンプの参加者を対象とした介入研究を行い、この仮説を検証する。さらに、居住地周辺の植生の量と質を数十m四方の解像度で定量化し、大規模疫学調査(環境省事業エコチル調査)と突合することで、居住地域の生物多様性タイピングを行う。これらの結果から、子どもの健康に直結する生物多様性タイプを同定し、自治体や企業等の自然環境保全、自然再興(ネイチャーポジティブ)事業において使用可能な指標として提案する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

生物多様性GISデータ整備を行い、大規模疫学研究(エコチル調査など)での生物多様性と健康との関連解析を可能にし、症例対照研究及び介入研究によりそのメカニズムを明らかにすることで、生物多様性保全の重要性に関する質の高い科学的エビデンスを創出する。居住地域の生物多様性タイピングを行い、行政施策や企業活動に有用な自然環境保全指標を提案する。本研究では、特に子どもの免疫機能に着目し、土壌微生物叢を含む生物多様性との関連性を症例対照研究及び介入研究によって解明する。また、生物多様性データを地図データ化(GIS化)し、さらに大規模疫学研究のデータと統合し、それを教師データとする機械学習によって生物多様性タイピングを行い、健康に直結する指標のGISデータを完成させ公開する。これらをもとに、個人や企業、行政が、自然環境保全、生物多様性保全に取り組む際に目安となる指標を、国民にわかりやすい形で提案、公表する。

今年度の研究概要

症例対照研究として、地方(2自治体)と都市部(1自治体)の小中学生の調査を行う。介入研究として、長期自然体験事業参加者の調査を行う。
・各自治体から小中学生100名ずつ登録し、参加者腸内細菌叢および免疫機能(抗体価、インターロイキン等)を測定する。その他、参加者の基礎的情報(食事、活動量、家庭状況、血液検査データ等)についても収集、測定する。
・モビリティランド・ハローウッズが主催する「ガキ大将の森キャンプ(30泊31日)」の参加者20名程度を対象とし、キャンプ2週間前、キャンプ前半、キャンプ中盤、キャンプ後半、キャンプ2週間後、キャンプ4週間後に腸内細菌叢および免疫機能の測定を行う。基礎的情報(同上)のデータを収集、測定する。

外部との連携

日本体育大学、筑波大学、昭和薬科大学

課題代表者

中山 祥嗣

  • 環境リスク・健康領域
    エコチル調査コアセンター
  • 次長
  • 博士(医学)
  • 医学,化学
portrait

担当者