- 予算区分
- AX 基基ウ(知的研究基盤)
- 研究課題コード
- 2125AX150
- 開始/終了年度
- 2021~2025年
研究概要
生物多様性の評価と保全に必要な、湖沼等の長期モニタリング、生物応答に関する実験、生物のゲノム情報解析に関する研究基盤整備を行う。また、生物資源の収集・保存事業を行い、絶滅危惧種の域外保全に貢献するとともに、微細藻類をはじめとする生物資源の持続的利用を推進する。 また、国内外の観測ネットワーク等と連携するとともに、データや試料の利活用を推進する。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
生物多様性の評価と保全に必要な、湖沼等の長期モニタリング、生物応答に関する実験、生物のゲノム情報解析に関する研究基盤整備を行う。また、生物資源の収集・保存事業を行い、絶滅危惧種の域外保全に貢献するとともに、微細藻類をはじめとする生物資源の持続的利用を推進する。 また、国内外の観測ネットワーク等と連携するとともに、データや試料の利活用を推進する。
今年度の研究概要
1) 微細藻類及び絶滅危惧大型藻類を対象とした保存株の長期・安定的な維持・管理を行い、国内外の研究者に保存株を提供するとともに、環境研究等で使われた保存株の収集及び寄託受け入れを行う。また保存株の無菌化や凍結保存への移行を進めることで、培養・保存・管理の効率化にも取り組む。さらに保存株の利用拡大を図るために、保存株の付加情報整備と公開作業を行う。
2) 国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている野生動物を対象に、遺伝資源(細胞、DNA等)の収集及び長期凍結保存を行う。特に、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)によって国内希少野生動植物種に指定されている種を優先する。採取した組織の一部を利用して細胞培養に成功した場合、それら生存細胞の凍結保存を行うとともに、生殖細胞(特に精子)の収集と凍結保存を検討する。絶滅の危機に備える最後の生息域外保全手段としても寄与することを目指す。
3) 保護増殖事業対象生物種について、遺伝子の位置や機能を示すアノテーション情報を付加したゲノム情報を提供する。微細藻類のドラフトゲノム情報の取得を行う。環境DNAによる生物多様性調の精度向上のために、DNAバーコード情報を収集する。ハイスループットシーケンシング解析の支援を行い、野生生物個体群の遺伝構造や分布情報を活用した解析に貢献する。
4) 各種調査研究で得られた生物多様性情報を共通フォーマットで整備し、生物多様性と生態系に関係するデータベースを構築する。地球規模生物多様性情報機構(GBIF)、海洋生物地理情報システム(OBIS)、気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)等所内外のデータベースへのデータ提供や連携の強化を行うとともに、侵入生物やDNA情報等の既存のデータベースの維持・更新、新規のデータベースの開発・公開を促進して、オープンサイエンスに貢献する。
5) 霞ヶ浦等の湖沼の長期モニタリングを実施するとともに、観測データをデータベースとして整備・公開する。国連の実施するGEMS/Water(Global Environment Monitoring System for freshwater)、日本長期生態学研究ネットワーク(JaLTER)、GBIF等の国内外の観測ネットワーク事業にデータを登録・提供し、国際湖沼観測ネットワーク(GLEON)の国際共同研究にも参加する。また、霞ヶ浦について高頻度自動観測体制を整備し、数時間〜数日スケールでおこる湖沼の変動の観測を開始する。