- 研究課題コード
- 1921CD030
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 気候変動適応,天候インデックス
- キーワード(英語)
- Climate Change Adaptation,Weather Index
研究概要
インドシナ半島中央部に位置するタイ・ラオスにおける洪水や渇水を対象として,低確 率・高影響事象(極端現象)を対象とした天候インデックス保険の可能性を評価し,気象災 害に対する有効なソフト対策を提案することが本研究の目的である.特に天候インデックス 保険のボトルネックとなるベーシスリスク(被害乖離)と自己保険に着目した社会経済調査 を通じて普及阻害要因の特定と保険設計手法の精緻化による被害補填効果の見える化を推進 する.ベーシスリスクが解消し,農家にとって真に有効な保険商品が開発されれば,当該地 域において一層の投資が図られ,農業発展に寄与することが期待される.また,その成果が
各国の政府や研究機関に利活用され地域の水災害が軽減されることを上位目標とする
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:
全体計画
本研究では以下の4つのサブテーマを設定し,低確率・高影響事象(本研究では再現確率10年を超える事象とする)における農業生産被害と保険による損失補填を 推計し,適切な設計手法を提案することを目指す.特に天候インデックス保険のボトルネッ クとなる被害乖離と自己保険に着目した社会経済調査を通じて普及阻害要因の特定と保険設 計手法の精緻化による被害補填効果の見える化を推進する.
以下に本研究のサブテーマの概要を示す. 1過去および将来の洪水・渇水に対応した降水量の極値抽出を行い,季節降水量の変化と農 業暦の関係性について検討を行う.2衛星リモートセンシング技術を援用して州や県レベル の農業統計値をダウンスケールし,洪水・渇水年における農業被害の空間分布から被害乖離 の偏在を求める.3情報を統合した水資源・作物生産モデルを構築し,農業被害リスクの変 動と適切なインデックス値を推計する.4農家の世帯生計調査を行い,過去の農業被害発生 時における損失費用と自己保険の効用,ため池の有効活用等の適応策を提案する.
以上の成果を統合し,天候インデックス保険のボトルネックを特定し,農村社会システム の変容を考慮した適切な設計手法・普及策を検討する.
今年度の研究概要
インドシナ半島中央部における気象観測データを収集し,水文統計解析により洪水・渇水 年における降水量の極値(10年確率降水量)を求める.また,田植えや収穫時期を規定する 降水量の季節内変動と農事暦との関係性を評価する.2100年までの将来気候については,全
球気候モデルGCMの出力値を分析することとし,アンサンブル予測結果を利用して算定結果 の不確実性も定量的に示す.
外部との連携
東京大学、東北工業大学、東北大学、岐阜大学
- 関連する研究課題
- 26002 : PJ2_気候変動影響評価手法の高度化に関する研究
- 26001 : PJ1_気候変動影響の定量評価と影響機構解明に関する研究
- 26025 : 気候変動適応に関する支援
課題代表者
増冨 祐司
- 気候変動適応センター
アジア太平洋気候変動適応研究室 - 室長(研究)
- 博士(地球環境学)
- 工学,農学,物理学