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3Rプラスと海洋プラスチック排出抑制対策に係る評価システムの構築(令和 3年度)
Studies on the integrated assessment system for sustainable plastic management focusing on the 3R plus concept and the marine plastic litter control

予算区分
S19-2(1)
研究課題コード
2125BA002
開始/終了年度
2021~2025年
キーワード(日本語)
物質フローモデル,プラスチック資源循環,海洋プラスチック,評価システム
キーワード(英語)
Material flow model,Plastic Circulation,Marine plastic litter,Integrated assessment system

研究概要

プラスチックの利用・廃棄段階の社会行動モデル(ポイ捨てなど人間行動を再現)や河川流入の物理化学的モデル(下水・廃棄物処理施設の点源や道路摩耗塵埃、ポイ捨て後のプラスチック河川流入などの面源排出における挙動等を再現)をサブモデルとして作り、社会経済活動に伴う上流側の物質フローを再現するモデルに接続することによって、3R+Renewable政策と海洋プラスチック排出抑制対策による温室効果ガス削減効果や枯渇性資源の使用抑制効果、随伴する化学物質の環境移行を含む環境負荷低減効果を評価可能な国レベルの物質フロー解析モデルを構築する。
開発した国レベルの物質フロー解析モデルに基づき、国が示す政策目標を踏まえた制約条件を満たす各種の社会システム方策を評価し、それらの導入水準を明らかにする。社会システム方策は、関連する他のサブテーマによる研究で提示する具体的な方策を含めて対象とする。
海洋プラスチックごみ対策アクションプラン等に基づく地域レベルの対策の効果を検証可能な流域レベルの地域分解能をもち、排出インベントリの成果を用いたプラスチックの海洋への流出までを評価可能な物質フロー解析モデルを作成する。また、モデルを応用して、地域管理方策の効果を検証可能な指標のモニタリングポイントを同定し、社会システムのモニタリングと環境モニタリングを統合した評価システムを構築する。
本評価システムは、関連主体協働による持続可能なプラスチック管理方策の計画、実施、評価、改善のPDCAの評価基盤となりうるものであり、様々な地域のステークホルダーに対する方策実施効果の見える化により、関連主体の実践的な行動変容に結びつけるための実施スキームのマネジメントシステムも合わせて構築し、提示する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

1−1):生活系プラスチックのライフサイクルフロー、GHG排出量や生態系影響などを分析するモデルを開発。最新技術や政策動向等をふまえて多様な環境負荷低減対策をまとめたシナリオを設定し、環境負荷削減の効果を推計し、最適シナリオを提案。消費以降の下流側は市町村レベルで分析。
1−2):産業系プラスチックの物質フローモデルの構築は、ユーザとしての農業、漁業、建設業等の事業者に加え、製造メーカや各種協会等に対するアンケート、ヒアリングによる詳細なボトムアップ型調査と、マクロ統計資料(産業連関表、生産動態統計、各種協会の統計資料等)による調査を組み合わせて実施。
1−3):物質フロー分析モデルを拡張し、プラスチックの再生利用と処理処分に伴う化学物質フローの分析モデルを作成。プラスチック利用・循環の阻害となりうる化学物質のレビュー、整理。プラスチック用途と化学物質の組合せ2種類程度を事例として実態データ収集。作成したモデルによる化学物質フロー分析。
2−1):人工圏におけるプラスチックの利用と環境排出挙動、ならびに静脈側(廃棄物・廃水処理過程)に移行後の挙動について流域レベルのモデルを構築。陸域ストックから水域排出、静脈からの環境排出、水圏での移動と海洋流出に関する物理化学的な移動を表現。プラスチック劣化・細片化挙動の定式化を反映。
2−2):異なる動機によるポイ捨て等の不法投棄行動に関する質問紙調査に加えて、ポイ捨ての多い場所での現場観察及びアクションリサーチを展開。複数方法からの社会行動データから全体的なモデルを構築。
3:関連施策体系における戦略的目標の構造をロジックモデル化。計画策定、関連主体の取組み実施水準を把握する指標、対策効果の指標とモニタリング、改善方針のフィードバックの一連のマネジメントプロセスを記述。各種施策効果の統合的な定量評価システムを構築。システム思考のフレーミングと先進事例分析、デザイン思考の実践アプローチにより、関連主体協働での実施スキームのマネジメント手法を検討。

今年度の研究概要

1−1):生活系プラスチックの排出段階からの下流側モデルを構築。上流側のモデルに着手。
1−2):産業系プラスチックのユーザ(農業、漁業、建設業等の事業者)へのアンケート、ヒアリング調査により、使用量、排出量、再資源化量等の原単位を把握
1−3):プラスチックの利用に阻害となりうる化学物質の事例レビュー。含有添加剤等の化学物質フロー分析モデル作成に着手。
2−1):漁業・水産業・農業・都市活動におけるストック情報を元にしてプラスチックの水域への移行について定式化。水管理状況が移行に与える影響を評価。
2−2):既存モデルの収集と仮説モデル構築、並びに予備的なwebアンケート調査を実施。
3:国レベルおよび地域レベル関連施策体系を整理。インプット、アウトプット、アウトカムの戦略的目標の関連性をロジックモデルにより構造化。

外部との連携

九州大学、北海道大学、京都府立大学

課題代表者

大迫 政浩

  • 資源循環領域
  • 領域長
  • 工学博士
  • 工学
portrait

担当者