ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

自然湖沼における気候変動影響の観測と評価(令和 3年度)
Monitoring and estimation of the climatic change effects on Japanese natural lakes

予算区分
LCCACs等との共同研究事業
研究課題コード
2123ZZ001
開始/終了年度
2021~2023年
キーワード(日本語)
水温躍層,貧酸素,水質悪化,地下水,在来魚
キーワード(英語)
thermocline,hypoxia,water quality deterioration,underground water,native fish

研究概要

猛暑日や集中豪雨といった気候変動に伴い、高水温化や底層の貧酸素化は多くの淡水自然湖沼でも常態化すると考えられている。その影響を少しでも軽減するため、まずは高水温化や貧酸素化の現状把握と在来魚を含む水生生物の減少や水質環境への影響監視が必要である。そこで、6道県の多様な自然湖沼を対象に、水温や底層溶存酸素量を高頻度で観測し、湖水の酸素代謝変数の温度依存性や気象依存性を評価し、短期的な貧酸素化要因を明らかにする。また気象場との相互作用を入れた湖沼ごとの水温構造や貧酸素水塊の過去再現モデル構築のため、過去の水温や溶存酸素量やそれに関連するデータの収集を行う。さらに、長期モニタリングデータを時系列変動解析し、高水温化や貧酸素化の要因となっている気象・水質因子を検出する。高水温化や貧酸素化の影響評価として、生物・ガス・栄養塩という3つの側面から重層的に評価するためのモニタリング体制の構築を行う。また高水温化や貧酸素化の緩和策・適応策についてその効果を実証するとともに、それらを実装した際の気候変動影響を評価できるための基礎データを収集する。適応PJ1, 2では、気候変動により顕在化する夏季の高水温化・貧酸素化・濁水流入等による湖沼生態系への影響のメカニズム解明と評価・予測を主たる目標としており、本申請課題はその基盤となるデータ収集整理を行います。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

1年目に高水温化と貧酸素化の影響評価体制を主たる自然湖沼を対象に整備する。具体的には水温と溶存酸素センサーロガーを設置し、夏季を中心に湖沼水質環境のモニタリング体制を確立する。得られたデータから、湖沼の環境悪化状況を解析するとともに、その原因を気象パラメータ、湖沼地形、流域特性、水文特性から解析する手法を検討する。
2年目には、北は北海道から南は鹿児島県まで、6連携機関の対象湖沼で常時モニタリング体制の整備を完成させる。モニタリングデータの時系列変動解析を実施し、湖沼の環境悪化要因を解析する。
3年目には湖沼ごとに共通する環境悪化要因と固有の悪化要因に整理し、各湖沼に適した気候変動適応策を提示し、琵琶湖等で適応策を施策した際の改善効果を流動モデルで検証する。

今年度の研究概要

主として以下の3項目のサブテーマを実施・推進する
1.高水温化と貧酸素化の要因解析のための水温・溶存酸素量の長期・短期監視データの収集
 高水温化や貧酸素化の長期変遷を整理し、夏季を中心にセンサーロガーを設置し、高頻度観測を行う。機器設置時の許可申請やメインテナンス等は地環研が主として担当し、機器機材の準備・設置、データ吸出し、解析等は国環研が担当する。
2.高水温化と貧酸素化の影響評価体制の構築
 湖沼の高水温化・貧酸素化はいずれも湖沼の生物多様性や生息水域、底泥からの栄養塩溶出や温室効果ガスの発生量に大きな影響を及ぼす。霞ケ浦や琵琶湖を中心にこれらの重層的影響評価手法の構築を行う。
3.高水温化と貧酸素化の緩和策・適応策の知見収集とその特徴のリストアップ
 高水温化や貧酸素化の発生を抑制する緩和策や発生時の適応策は複数あるが、一長一短であることから、効果的な緩和策・適応策を絞り込む前に広く関連する知見の収集を行い、その長所・短所を整理する。

外部との連携

地環研を主とする次の6機関と連携して進める
1)釧路市教育委員会 マリモ研究室
2)秋田県健康環境センター 環境保全部
3)茨城県霞ケ浦環境科学センター 湖沼環境研究室
4)栃木県保健環境センター 水環境部
5)滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 環境監視部門
6)鹿児島県環境保健センター 水質部

課題代表者

高津 文人

  • 地域環境保全領域
    湖沼河川研究室
  • 室長(研究)
  • 理学博士
  • 生物学,農学,林学
portrait

担当者