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マルチスケール化学動態研究プロジェクト(令和 2年度)
Research Project on Multi-scale Chemical Dynamics

予算区分
AA 課題解決型
研究課題コード
1620AA045
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
マルチスケール,化学動態
キーワード(英語)
multi-scale,chemical dynamics

研究概要

多数の化学物質に対して、その特性に応じた効果的で効率的な管理方法が求められている。着目すべき時空間スケールや媒体は、環境中動態に影響を及ぼす当該化学物質の特性や健康・環境に対する影響に応じて決まる。本プロジェクトでは、リスク評価や管理に求められるさまざまな時空間スケールや媒体において、高精度分析等によって未解明な動態を明らかにし、環境実態を適確に把握・予測するためのモデル構築を進めるとともに、国際条約の有効性評価等への貢献など新たなリスク管理手法の提言に繋げる知見を集積することを目的とする。そのために、全球スケールでの高精度分析による発生源の識別、生物移行動態の把握を進め、全球スケールでの動態モデルの構築を進める。また、地域スケールから屋内スケールで、農薬・添加剤など類似機能を有する多種化学物質の排出過程や環境動態の把握および予測手法の構築を進める。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

次の4つのサブテーマにより研究を進める。
(1)定量と同位体分析による大気および水圏中の水銀やその他有害金属の実態把握、発生源識別指標の開発を進め、生物移行動態を解明する。2018年度までに、大気由来水銀と陸水環境中水銀の関係を明らかにした。最終年度までには海洋中水銀分布まで対象を広げ、人為由来水銀との関係を明らかにする。
(2)水銀やPOPs等の全球スケールにおける汚染と生物への影響が懸念される化学物質の全球モデルを構築し、国際条約の有効性評価に資する動態研究を行う。2018年度までに、メチル水銀のプランクトンへの移行動力学モデルを導入し、長期予測の準備を整えた。最終年度までに、大気-海洋-陸域-生物圏に亘る水銀循環を推定する全球モデルを構築し、長期シミュレーションの結果の妥当性を検証する。
(3)地域スケールにおける農薬等化学物質グループ全体の排出量および環境中濃度の時空間変動を予測する手法を構築し、それらのリスク管理に資する研究を行う。2017年度までに農薬を対象としたモデル予測および検証を実施した。最終年度までに家庭等から排出される物質の予測精度向上のために、下水処理過程のモデル化とその妥当性検証を進める。
(4)曝露に直結する屋内スケールにおける製品からの化学物質の排出動態について、未解明過程を含めた動態を把握し、予測手法を構築する。排出動態に未解明・未把握の部分が多い半揮発性・低揮発性物質について、2018年度までにダストへの対象物質の移行速度を明らかにした。最終年度までに移行速度と、製品材質性状、添加剤含有率、ダスト成分、添加剤物性などとの関連を明らかにする。

今年度の研究概要

東シナ海におけるメチル水銀濃度の実態把握と変動要因の把握、大気-海洋における形態変化と陸面動態について水銀全球モデルの改良を進める。また、排水処理を考慮した地域モデルの高精度化と検証、屋内スケールでの添加剤の排出過程の把握とモデル解析を進める。

外部との連携

国立水俣病総合研究センター、新潟大学、化学物質評価研究機構、トロント大学、京都大学、広島大学、熊本県立大学、新潟大学、富山県立大学、埼玉県環境科学国際センターと連携している。

備考

環境リスク研究分野
環境計測研究分野
資源循環・廃棄物研究分野

課題代表者

今泉 圭隆

  • 環境リスク・健康領域
    リスク管理戦略研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,土木工学,コンピュータ科学
portrait

担当者