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建物エネルギーモデルとモニタリングによる炭素排出量・人工排熱量の高精度な推計手法の開発(平成 31年度)
Development of method for estimating carbon and anthropogenic heat emission with a building energy model and monitoring data

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 1-1909
研究課題コード
1921BA014
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
熱・CO2排出量,化石燃料,放射性炭素同位体,排出インベントリ
キーワード(英語)
heat and carbon dioxide emission,fossil fuel,radiocarbon,emission inventory

研究概要

世界的な都市への人口集中に伴い、都市の気候変動対策はその重要性を増しつつある。その対策の設計に際しては、都市ヒートアイランド現象と地球温暖化の両気候変動の因子としての人工排熱量・炭素排出量(以下、熱・CO2排出量)の正確な推計が必要である。本研究ではこの熱・CO2排出量の新たな推計手法の構築に向け、まず、都市域(東京都渋谷区の代々木サイトを想定)で、CO2と酸素濃度、放射性炭素同位体比、熱収支の同時観測を行い、排出起源毎の熱・CO2排出量の定量化を行う。また、エアロゾル組成の連続測定を実施し、CO2燃焼発生源の分別について検討を行う。以上の大気モニタリングを通じ、後述する数値モデルの検証の為の熱・CO2排出量実測データを取得する。
次に上述データを検証資料とし、日々の気象条件へ依存するが故に従来インベントリ分析では表現が困難であった民生部門の熱・CO2排出量を対象に、数値モデルによる新たな推計手法を提案する。具体的には、気象条件と建物空調エネルギー需要の動的関係を模擬可能な独自の都市気象・建物エネルギーモデルを改良・適用する。同モデルによる熱・CO2排出量の計算値を大気モニタリングの実測と比較しモデルを検証後、気象・気候条件への依存性や排熱フィードバックも考慮した建物由来の熱・CO2排出量のモデル計算を行う。その結果から熱・CO2排出量の原単位等のインベントリ推計の基礎データを作成する。なお、以上の解析では、電力会社より提供される予定の大気モニタリング対象地域内での電力実需要データも併用し、都市気象・建物エネルギーモデルの総合的な検証も試みる。
以上のモデル解析より得られた原単位等を利用し、建物からの熱・CO2排出量推計と他部門の既存の推計手法とを組み合わせ、モニタリングとの検証を重ねることによって数理モデルを構築し、高精度な熱・CO2排出量のインベントリ推計を行う。また、この知見に基づいて簡易に全国で排出量インベントリ推計が可能となるツールを作成する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

サブテーマ1「大気モニタリングによる起源別のCO2・熱排出量推定」を実施する。CO2と酸素濃度、放射性炭素同位体比、熱収支等の大気モニタリングデータを取得し、観測に基づく起源別のCO2および熱排出量推定を行う。得られた結果をサブテーマ2と3に提供し、都市気象・建物エネルギーモデルならびに熱・CO2排出量インベントリの検証と高精度化に寄与する。
また、サブテーマ3「数理モデルの開発・インベントリ及び簡易推計ツールの作成」の排出量インベントリ作成に協力する。

今年度の研究概要

代々木サイト(渋谷区富ヶ谷)に設置した観測システムを用いて、CO2および熱排出量の常時モニタリングを実施する。また、放射性炭素同位体比および酸素濃度の大気観測を実施し、CO2総輸送量を起源ごとに案分する。更に、大気中のエアロゾル組成の観測を実施し、エアロゾルの石炭燃焼・石油系燃料燃焼起源の判別を行い、CO2排出源との関連を解析する。観測から得られたCO2排出量の起源別割合を用いて、人工排熱についても起源別の推定を行い、その妥当性を検証する。
また、サブテーマ3の排出量インベントリ作成に協力する。

外部との連携

埼玉県環境科学国際センター(研究代表者)、産業技術総合研究所、防衛大学校、明星大学、東京大学との共同研究。

課題代表者

寺尾 有希夫

  • 地球システム領域
    炭素循環研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 地学,理学
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担当者