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大気汚染対策効果評価のためのシミュレーション支援システムの研究開発(平成 31年度)
Research and development of a simulation support system for evaluating air pollution measures

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 5-1903
研究課題コード
1921BA001
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
大気汚染,シミュレーション支援,排出インベントリ,客観解析,逆推計手法
キーワード(英語)
air pollution, simulation support, emission inventory, objective analysis, inverse method

研究概要

近年、東アジアと国内の大気汚染状況は、劇的な変化を示している。国内のPM2.5平均濃度は2014年度以降減少傾向にありつつも未だ環境基準を超える高濃度が観測される一方で、光化学オキシダントは全国で環境基準達成率がほぼゼロである状況が続いており両者の対策が求められている。これらには中国での排出量変化が大きく影響していると考えられるが、国内の大気汚染状況は強い地域性を持つことから、自治体等による地域毎の対策が必要である。また、気候変動適応法に伴い、気候変動が大気汚染に及ぼす影響についても地域毎の検討が求められている。
これらの検討に際して必要な手法の一つが数値シミュレーションである。大気汚染に係るシミュレーションについては推進費C-1101、5-1408等により大気質モデル精度改良の取組みの蓄積があり、また、推進費5-1601では規範的な大気質モデルの利用法に関する知見が集積されている。また、環境省の委託調査によって排出インベントリ等のデータ整備が進められてきた。しかし、これらの成果は自治体等が簡便に利用できる形としては整備されておらず、シミュレーションに至るまでには幾つかの障壁がある。
本研究は、これまでの大気質モデル、知見や排出インベントリ等の蓄積を生かして、ユーザーインターフェースを介した簡便な選択や指定に基づいて国内外の各種インベントリをモデルレディの排出量データに変換し、また、モデルの計算設定ファイルを自動生成するシミュレーション支援システムを開発する。これにより当事者である自治体担当者等が、それぞれの地域における問題を解決するために、多数の施策オプションの総合的・継続的な検討を可能とすることを目的とする。
 シミュレーション支援システムの開発と並行して、大気環境常時監視データ等の地上観測データや衛星観測データをデータ同化するシステムを開発した上で、光化学オキシダントやPM2.5濃度について大気汚染物質濃度解析データセットを作成する。また、地上観測データや衛星観測データに基づいて日本国内のNOx排出量に対する逆推計システムを開発することで、国内NOx排出量の精度を検証し、改良を行う。
 複数の自治体によるケーススタディを数値シミュレーションを用いて実施し、シミュレーション支援システムの検証・実証も兼ねつつ、それぞれの地域における大気汚染問題を解決するための施策検討に資する研究を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

推進費S-12-1等で開発されたマルチスケールの大気質モデルを、推進費5-1601(茶谷聡代表)の成果である規範的なモデル設定で、簡便に利用できるようにするための大気汚染シミュレーション支援システムを開発する。シミュレーション支援システムは、ユーザーフレンドリーなインターフェースを介して、計算設定等を選択・指定することで、シミュレーションに必要な排出量データと計算設定ファイル等を生成する。排出量データは、環境省の2015年インベントリ他の国内外の複数の排出インベントリを利用可能とし、推進費5-1601が開発した排出量変換システムを改修・発展させつつシステムに組み込むことで変換する。
 シミュレーション支援システムの開発と並行して、大気環境常時監視データ等の地上観測データや衛星観測データをデータ同化するシステムを開発した上で、光化学オキシダントやPM2.5濃度について大気汚染物質濃度解析データセットを作成する。また、地上観測データや衛星観測データに基づいて日本国内のNOx排出量に対する逆推計システムを開発することで、国内NOx排出量の精度を検証し、改良を行う。
 複数の自治体によるケーススタディを数値シミュレーションを用いて実施し、シミュレーション支援システムの検証・実証も兼ねつつ、それぞれの地域における大気汚染問題を解決するための施策検討に資する研究を行う。
【2019年度】
自治体等の現況やニーズを踏まえつつシミュレーション支援システムの仕様について検討する。シミュレーション支援システムの初期版を開発する。システムには既存の成果に基づいて開発した排出量変換ツールの初期版を搭載する。データ同化に用いる観測データを収集しつつ、大気汚染物質解析システムの開発を開始する。地域における計算解析の設定について十分協議を行いつつ、通常の計算設定の計算を開始する。また、離島等で計算解析に必要な観測を開始する。
【2020年度】
シミュレーション支援システム初期版の検証を行いつつ改良を行う。排出量変換システムの改良を図りつつ、既存の排出インベントリの空間配分について検証を行う。大気汚染解析データセットの作成を開始し、また、日本を対象とした逆推計システムの開発を開始する。地域における計算解析をそれぞれ進捗させる。また、必要な観測を継続する。
【2021年度】
排出量変換システムを含むシミュレーション支援システムの完成版を作成する。大気汚染物質濃度解析データセットを完成させる。排出量データが存在しない近年に至るまでのNOxの排出量逆推計を行う。地域における計算解析のとりまとめを行う。これらの成果物は研究コミュニティ内で広く公開する。

今年度の研究概要

自治体参画機関および協力機関と相談し、シミュレーション支援システムの仕様について検討を行い、また、それぞれ共同実施する大気汚染対策効果評価研究について相談・検討を行う。
これまでの推進費課題(5-1601等)で構築された排出量データの変換ツールを拡張させ、複数の排出インベントリデータに対応し、インターフェース上での各種パラメータの設定などが行え、かつ、排出量や関連各種情報の図示もできるユーザーフレンドリーな排出量変換システムの初期版を開発し、それを含むシミュレーション支援システムの初期版を開発する。また、推進費S-12-1の逆推計結果と現状の排出インベントリとの初期比較を行う。

外部との連携

排出量変換システムについては以下の機関と分担する。
 日本自動車研究所、日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター
データ同化、逆推計システムおよび大気汚染物質濃度解析データセットについては以下の機関が担当する。
 九州大学、電力中央研究所
ケーススタディについては以下の機関が担当する
 神奈川県環境科学センター、福岡県保健環境研究所
参画機関以外にも、国立環境研と地方環境研との?型共同研究「PM2.5の環境基準超過をもたらす地域的/広域的汚染機構の解明(2016-2018年度実施、2019年度以降も継続課題予定あり)」のモデル研究グループの参画機関も協力者としてケーススタディ等を行う。

関連する研究課題

課題代表者

菅田 誠治

  • 地域環境研究センター
    大気環境モデリング研究室
  • 室長
  • 博士 (理学)
  • 理学 ,地学
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担当者