- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1620CD004
- 開始/終了年度
- 2016~2020年
- キーワード(日本語)
- 二次有機エアロゾル,化学的エイジング,スモッグチャンバー
- キーワード(英語)
- secondary organic aerosol, chemical aging, smog chamber
研究概要
数値モデルで予測されるオゾンや二次有機エアロゾル(SOA)が過小評価となる原因を科学的に解明することを最終目的とし、以下の項目の達成を目指す。1.オキシダント生成やSOA生成・成長・老化に深く関わるHOxサイクルの実大気中での回転速度と反応収率を精密に決定できる方法論の確率、2.HOxサイクルの回転により駆動されるオキシダント生成について実証的な研究、3.HOxサイクル計測により予測されるオキシダント生成速度と実大気での生成速度の比較によるオキシダント生成理論の検証、4.HOxサイクルとSOAの成長・廊下の関わりを大規模チャンバーで計測し、これらを統合した数値モデルの構築、5.未知反応性物質のオキシダントやエアロゾル生成への寄与の評価。このうち国立環境研究所では、1〜3の装置開発を国立環境研究所のスモッグチャンバーを利用することによって支援するとともに、4〜5の研究を実施する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
「HOx/O3/NO3反応によるエアロゾルの生成および変質過程の解明」(地域センター 佐藤圭担当)
初年度は、植物起源のイソプレンの光酸化反応に関する実験を行う。イソプレンの光酸化で生成したエアロゾルにHOxなどの酸化剤を添加し、エアロゾルの組成変化をエアロゾル質量分析計および液体クロマトグラフ質量分析計により分析し、エアロゾルの成長・老化とHOxサイクルの関係を調べる。所外研究者との連携により、イソプレンの光酸化を用いたラジカル計測装置の検証も行う。29年度以降は、エアロゾルを暴露する酸化剤としてHOx以外にもO3やNO3についても試す。また、反応に用いるVOCとして植物起源のモノテルペンや人為起源の芳香族炭化水素についても順次検討を行う。最終の32年度には、エアロゾル質量分析計を用いた野外観測を行い、前年度まで室内実験で得た知見を野外で検証する。
「HOxサイクルの理解に基づくエアロゾル予測モデルの深化」(地域センター 森野悠担当)
詳細な化学反応メカニズムに、本研究で明らかとするHOxサイクル中の各収率や準揮発性VOCの生成収率などを組み込んだエアロゾルモデルを構築し、室内実験で得られたHOxサイクルやSOA生成能の正確な再現を目指す。合わせて改良したモデルを3次元化学輸送モデルに組み込むことで、化学メカニズムの正確な理解に基づいた数値モデルを基に実大気中のSOAやオキシダントの主要な生成過程や大気動態を解明する。
今年度の研究概要
本年度は、京都大ほかのグループとともに横浜おいて夏季都市部の高濃度域においてVOCおよび有機エアロゾルの観測を行う。また、チャンバー、ガス交換器およびフロー反応器を組み合わせて、HOxラジカルによるSOAの不均一酸化に関する実験を行う。
外部との連携
京都大学 梶井克純教授(代表)
京都大学 坂本陽介助教(分担)
大阪府立大学 定永靖宗准教授(分担)
東京農工大学 中嶋吉弘准教授(分担)
長崎大学 中山智喜准教授(分担)
環境リスク・健康研究センター 藤谷雄二主任研究員(研究協力)
地域環境研究センター Sathiyamurthi Ramasamy特別研究員(研究協力)
- 関連する研究課題