- 予算区分
- LA 共同研究
- 研究課題コード
- 1818LA003
- 開始/終了年度
- 2018~2018年
- キーワード(日本語)
- ノンターゲット分析,精密質量,堆積物
- キーワード(英語)
- non-target analysis,accurate mass,sediment
研究概要
GC×GC-TOFMSでは多成分を同時に検出することが可能であり、これを貴重な試料の網羅的分析に用いることにより、既知の環境汚染物質だけでなく、これまで見落としていた化学物質を含めた包括的な汚染実態を明らかにすることが出来ると期待される。過去に、生物環境試料バンク(es-BANK)で保管されていた河口堆積物をGC×GC‐HRTOFMSにより測定した際は、わずか1回の測定で数千ものピークを検出した。しかし標準品を使用せずに確度の高い同定が出来たピークは全体のごく一部であり、その理由として、(1) 電子イオン化(EI)法では多数のフラグメントイオンが発生するため、物質が混在した場合に同定が不可能、(2) 分子イオンが検出されない場合には組成式推定が不可能、などが挙げられた。よって、フラグメントイオンの生成を最小限に抑え、分子イオンの高感度検出を行うことが可能な化学イオン化(CI)法の適用が必須であると考えられた。
本研究では、GC×GC-HRTOFMSにおいてCI法と従来のEI法の2つのイオン化法を用いて日本海深海堆積物コア試料を測定し、試料中環境汚染物質の網羅分析とプロファイル解析を行うことにより、これまで見落とされていた化学物質汚染の実態、経年変化や将来予測の研究において、新たな知見が得られるものと期待される。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
GC×GC-EI/CI-HRTOFMSによるノンターゲット分析手法を用いて、愛媛大学 沿岸環境科学研究センター es-BANKに保管されている兵庫県沖深海堆積物のコア試料を測定する。EIデータとCIデータを詳細に比較しながら組成式あるいは物質の同定を試み、人為起源の環境汚染物質や天然起源の有機ハロゲン化合物等の探索を行う。堆積物コア試料の複数の層で検出された化合物については、推定された堆積物の年代と照らし合わせ、その経年変化について解析を行う。CI法により新たに堆積物中に検出された化合物については、これまで基盤構築を行ってきた精密質量スペクトルデータベースに情報を登録していく。
今年度の研究概要
上記の全体計画にそって、研究を行う。
外部との連携
愛媛大学 沿岸環境科学研究センター 国末 達也 教授