- 予算区分
- BX 環境-その他
- 研究課題コード
- 1517BX003
- 開始/終了年度
- 2015~2017年
- キーワード(日本語)
- 国立公園,経済評価,野生動物管理,政策評価,環境評価
- キーワード(英語)
- National park,economic valuation,Wildlife management,Policy evaluation,Environmental valuation
研究概要
地域自然資産法では、入域料や協力金等の利用者負担金、寄付金等の民間資金を利用して、自然環境を保全する枠組みの構築が示されている。一方で、自然環境の経済的価値と民間資金等拠出の関係を分析した事例は少なく、自然環境施策への効果的な民間資金の活用についての知見も十分にはない状況にある。また、このような自然環境施策が社会・経済にどのような影響を与えるのか科学的な評価・分析の事例も少ない状況にある。本研究では、国内の主要な自然環境を対象に、自然環境の経済的価値を評価した上で、民間資金等の設定・収集方法の検討を行うとともに、民間資金等を活用した自然環境施策の社会・経済への影響を評価・分析する。これにより、自然環境の価値や社会・経済への影響を適切に考慮した上での外部資金等の設定・収集の在り方や、これを活用した効果的な自然環境施策を提案する。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究の目的は,国内の主要な自然環境を対象に自然環境施策の経済的影響を分析するための手法を開発するとともに,生物多様性の価値を反映した新たな保全策のあり方を示すことにある。第一に,地域自然資産法に位置づけられた入域料の徴収と寄付金等による土地の管理等に関連し,生物多様性の価値とそれに対する民間資金の拠出の関係の考え方の整理を行う。第二に,入域料等の適切な金額の設定方法,および入域料や寄付等の効果的な集金手法等について経済学的な観点から実証研究を行う。第三に,国立公園化等の自然環境施策が,地域経済や国民の経済活動にどのような影響を及ぼしているかについて実証データをもとに分析する。そして第四に,これらの分析結果をもとに生物多様性の価値を反映した自然環境保全政策のあり方について検討する。
今年度の研究概要
国立公園等における自然環境施策の経済効果を評価する際には,施策対象地の現状を調査することが不可欠である。そこで,評価対象地の現地調査を実施し,国立公園の利用状況や保全施策の課題を調べる。ここでは,現地の環境行政担当者とも連携を行いながら,対象地域の様々なデータを収集する。また,自然環境施策においては,外来種対策や固有種保全などの野生動物管理が重要な課題となっていることから,野生動物管理学の観点から分析を行う。なお,現地調査では,野生動物管理学を専門とする共同研究者を中心に,関連するメンバーで協力しながら調査を行う。平成29年度は引き続き奄美群島をはじめとする南西諸島を中心に,新たな自然環境施策の導入が地域社会に及ぼす影響について分析を進める。
外部との連携
本研究は栗山浩一教授(京都大学; 代表)、柘植隆宏教授(甲南大学; 分担者)、庄子康准教授(北海道大学; 分担者)と連携して行う。
課題代表者
久保 雄広
- 生物多様性領域
生物多様性保全計画研究室 - 主任研究員
- 博士(農学)
- 経済学,心理学,農学