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資源・エネルギーの統合利用による「低炭素型地域再構築」の計画分析モデル開発と実証(平成 29年度)
Development of Analytical Models for Low Carbon Re-development Planning coupling with Resources and Energy Use, and their Application to Municipalities

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 2-1711
研究課題コード
1719BA012
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
低炭素,都市,統合評価モデル
キーワード(英語)
Low Carbon,city,Integrated Assessment Model

研究概要

既存の都市や地域を低炭素かつレジリエントな都市として再構築していくには、都市基盤の高度化や建設ストック更新などを考慮しつつ、持続可能かつ低炭素・低環境負荷でレジリエントな都市空間の姿とその実現の道筋を具体的に明らかにできる地域再構築の計画評価の理論及び方法論が必要となる。
本研究では、1)空間情報を活用し、人口減少や高齢化などの課題も含めて将来の土地利用及び都市構造を定量的に評価する「低炭素型都市空間分析モデル」と、建設ストックの持続的な更新に着目した「建設ストック更新評価システム」を開発し、低炭素でレジリエントな都市空間像の分析手法を確立する。加えて、2)運輸旅客及び民生家庭部門を対象にした「エネルギー需要及び二酸化炭素排出量推計手法」と、3)複数の複合街区を対象に熱電供給網などのエネルギー基盤整備も含めて持続可能かつ最適なエネルギー需給システムを検討できる「地域拠点設計手法」を開発し、都市を構成する民生・運輸部門の将来像を定量的に分析する手法を確立する。さらに、これらの手法を統合化し、4)都市・地域全域で技術及び制度・政策を対象に低炭素化のためのシナリオ及び実現の道筋を検討できる「低炭素施策評価モデル」を開発するとともに、5)これら開発した手法を整合的に連携させた、地域を低炭素でレジリエントな「低炭素型の地域再構築」の計画分析モデルとしてとりまとめる。
開発した手法・モデルは、学術誌や国際学会等で発表して学術性を高めるとともに、連携研究体制を構築済みである横浜市、福島県新地町、北九州市や熊本県小国町等へ適用して手法の有効性の実証と改良を進める。
以上に加え、広くわが国の自治体が独自に地域再構築計画を立案できるよう、開発した計画分析モデルをもとにExcelやWebで検討可能な簡易評価モデルも開発し、地方公共団体温暖化対策実行計画等への情報出力及び反映を目指すものとする。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

課題全体としては、都市や地域を、低炭素でレジリエントな都市として再構築するための計画を統合的に検討する「低炭素型の地域再構築」の計画分析モデルの理論を確立し、国内都市での実証を通じてその一般性と有用性を検証する社会実装型の研究を目指す。また、開発した計画分析モデルを簡易化して、地方公共団体温暖化対策実行計画等でも活用が可能な計画立案手法として一般化する。

サブテーマ(1)では、他のサブテーマで開発する手法を統合化し、都市・地域レベルで技術及び制度・施策を対象に低炭素化のためのシナリオ及び実現の道筋を検討できる「低炭素施策評価モデル」を開発するとともに、これらを整合的に連携させて低炭素でレジリエントな「低炭素型の地域再構築」の計画分析モデルとしてとりまとめる。また、国内の複数都市を対象とした実証通じた手法の有効性検討と、広くわが国の地方自治体が低炭素型地域構築の計画立案に活用できる簡易手法を開発する。
サブテーマ(2)では、空間統計情報を活用して、人口減少や高齢化なども含めて将来の土地利用及び都市構造を定量的に評価する「低炭素型都市空間分析モデル」及び運輸旅客・民生家庭部門を対象にした「エネルギー需要及び二酸化炭素排出量推計手法」を開発し、都市内の人口分布及び都市を構成する民生部門及び運輸部門の将来像及び低炭素方策を検討、提案する。
サブテーマ(3)では、持続可能な建設ストックの更新に着目して将来シナリオを検討できる「建設ストック更新評価システム」を開発し、将来の都市構造実現のための建設ストック更新戦略及びその実現方策を検討するとともに、建築物や社会基盤施設のストックをその構造や利用年数を考慮しつつ投入量や排出量について分析し、低炭素化に繋がる建設ストック更新について検証する。
サブテーマ(4)では、所与の都市構造及びエネルギー需要分布に対して集中型と分散型を組合わせ、熱電供給ラインなどのインフラ整備も含めて複合街区を対象にエネルギー需給システムを検討できる「地域拠点設計手法」を開発し、複数の国内都市を対象に最適なエネルギー需給システムを検討し、手法の有効性を検証する。

今年度の研究概要

課題全体としては、既存のモデル群をもとに、国全体のシナリオと整合性を保って都市・地域レベルのシナリオを分析するための手法として改良を進めるとともに、資源及びエネルギーの統合化の手法を開発する。また、研究課題全体で共通して対象とする地域を複数選定し、対象地域における空間情報を整備するとともに、現状の土地利用について運輸旅客及び民生家庭部門のエネルギー需要及び二酸化炭素排出量を分析し、将来のなりゆきシナリオにおける建設ストック更新計画を分析する。また、翌年度以降に課題全体で共有して分析を進めるために、低炭素化に加えてレジリエンス、持続可能性の観点から複数の土地利用及び都市構造の将来シナリオを検討する。これらに加えて、都市や地域の再構築についての先進事例について海外も含めて調査、ヒアリング等を実施する。

サブテーマ(1)では、既存の国ないしは都道府県を対象とできる統合評価モデル(AIMモデル)を都市・地域レベルで利用可能なように拡張・改良し、エネルギー及び技術を中心に国全体のシナリオと整合性のある都市・地域の低炭素シナリオを検討できる枠組みを開発する。また、産業部門を対象に、資源とエネルギーの統合利用のためのシステム設計及び施策評価モデルを開発する。並行して、研究課題全体で共通する対象地域の情報整備と先進事例調査を実施する。
サブテーマ(2)では、対象地域における空間情報を整備し、低炭素の観点から土地利用及び都市構造の将来シナリオを検討する。また、都市を対象に運輸旅客及び民生家庭部門のエネルギー需要及び二酸化炭素排出量推計手法を開発し、対象地域毎の特性を明らかにする。
サブテーマ(3)では、対象地域における過去の建設ストックに関する情報を整備するとともに、建設ストックに着目して将来シナリオを検討できる「建設ストック更新評価システム」を開発し、なりゆきシナリオにおける将来の建設ストック更新計画を分析する。
サブテーマ(4)では、既存の熱供給システム分析モデルを電力及びその他エネルギー源も対象とできるように拡張し、熱電供給ラインなどのインフラ整備も含めて複合街区を対象にエネルギーシステムを検討できる「地域拠点設計手法」を開発する。

外部との連携

サブテーマ3は名古屋大学と、サブテーマ4は東北大学との連携により実施する。

課題代表者

芦名 秀一

  • 社会システム領域
    脱炭素対策評価研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 機械工学,システム工学
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担当者