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浸出水中の有機化合物に対する海面処分場粘土ライナーの遮蔽性能評価(平成 23年度)
Chemical Resistance and Barrier Performance of Bottom Clay Lines at Coastal Landfills

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
1111KZ002
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
海面処分場,粘土ライナー,化学適合性,遮水性能
キーワード(英語)
Coastal Landfill, Clay Liner, Chemical Compatibility, Barrier Performance

研究概要

粘土ライナーの性能低下を引き起こす有機化合物成分と影響度は未解明である。粘土鉱物は、有機化合物の極性と官能基、濃度、水分子との水和反応が、その透水係数を決定付ける支配因子となっている。最近、産廃処分場の浸出水から、時として高い濃度で検出されている1,4ジオキサン(1,4DX)とビスフェノールA(BPA)は、粘土鉱物と水分子の水和反応を阻害する低い極性またはフェノール基をもつ有機化合物であり、粘土ライナーの透水係数を増加させる物質であるが、浸出水中の限られた濃度で透水係数にどの程度の影響力をもつのかは不明である。海面処分場の遮水工に用いられる海底粘土は、環境汚染を防止するための最終ディフェンスラインであり、浸出水に対する耐化学性と長期安定性は不可欠な要件であるので、本研究では、大阪湾から採取した海底粘土を用いて、1,4DXまたはBPAを透水溶液とした長期透水試験を実施し、遮蔽性能(透水係数と吸着能)に及ぼす影響度を調べる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

大阪湾の海底地盤から入手済みのボーリングコアを、不攪乱試料として透水試験の供試体に用いる。透水溶液には1,4DXまたはBPAの濃度を変化させたものを数種類用意し、各透水溶液を供試体に通水させたときの透水係数とその長期変動を計測する。同時に、供試体から排水される液体の濃度をモニタリングし破過曲線を描くことで、吸着量をみる。また、海底粘土の透水係数に及ぼす有機化合物の影響をみるために、縦軸に透水係数、横軸に透水溶液中の1,4DXまたはBPAの濃度で整理したグラフを描く。この勾配の大小により、各有機化合物が透水係数の増加に寄与する成分であるか否かの判断とその影響度をみる。また1,4DXとBPAの吸着量は、海底粘土中に含まれる有機物質量で正規化し、それぞれの値を比較することで、各有機化合物に対する吸着能の違いをみる。

今年度の研究概要

大阪湾の2箇所から採取した海底粘土を透水試験および吸着試験の試験材料とする。純水または海水に1,4DXまたはBPAを溶かしたものを透水溶液して、海底粘土の透水係数を測定することで、海底粘土の透水係数に及ぼす1,4DX、BPAの影響を評価する。また海底粘土中の鉱物組成をX線回折により明らかにし、1,4DXやBPA等の有機化合物に対する海底粘土の耐化学性を、鉱物の結晶構造の観点から理論的に考察を試みる。対照として、陸上処分場で用いられる精製ベントナイトに関しても同様の実験を行い、最終的には遮水工に及ぼす有機化合物の影響として、海面処分場(海底粘土)と陸上処分場(ベントナイト)の違いを言及する。

課題代表者

石森 洋行

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 主任研究員
  • 工学博士
  • 土木工学
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担当者