- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1012CD001
- 開始/終了年度
- 2010~2012年
- キーワード(日本語)
- メタ個体群,情報ギャップ理論,外来種管理,最適化,不確実性,接続性
- キーワード(英語)
- metapopulation, Information-Gap theory, management of invasive species, optimazation, uncertainty, connectivity
研究概要
外来種の駆除を考える際、複数の潜在的な生息地間で外来種の移動が起こりうる場合と、そうでない場合では、複数の生息地への最適な駆除努力の空間配分は異なると考えられる。空間構造に関する知識が得られる事によって、不確実性に頑健な意思決定を行うことのできる数理的手法を開発する。空間構造と駆除努力の最適配分の関係を体系的に解析を行う。理論だけではなくモデルの実用性も重視し、オーストラリアにおける外来植物Para grassとGamba grassの不確実性に頑健な駆除計画を導出する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
まず、初年度でDynamic Information-Gapモデルの開発に取り組む。2年目から、空間構造の特徴と不確実性に頑健な駆除努力の最適配分の関係を体系的に解析を行う。そして、空間構造に関する情報の価値の定量化を行い、生態学的パラメータとの相対的な情報の価値を明確にする。3年目は、実際に構築したモデルから、政策提言を目標としてPara grassとGamba grassの不確実性に頑健な駆除努力の空間配分を求める。
今年度の研究概要
1.空間構造と不確実性に頑健な駆除努力の関係の体系的解析
それぞれの局所地域において、vacant, low density, high densityの3つの状態を考える。実際の野外調査においても、詳細な密度を把握することは難しいためにこの仮定は妥当だと言える。開発したDynamic Information-Gapを用いて不確実性に頑健な駆除戦略をもとめ、空間構造と不確実性に頑健な駆除努力の関係の体系的解析を行い駆除計画の指針となる理論を提示する。
2.生態学的特性と最適駆除戦略
休眠性種子をもつ植物は根絶が難しいと言うことが知られている。その場合は、新しい局所個体群に定着することを阻止することが重要になる。そのために、より他の局所個体群との結びつきがある局所個体群に優先的に管理努力を投資すべきであると言える。また、生物学的防除などの根絶のための手法が確立されている種とそうでない種では、駆除のコストが異なる。他にも、繁殖齢が短い場合や、繁殖力が強いほど高密度になるまでの時間が短く、早い段階での管理努力の投資が重要となると考えられる。このように、外来種の生態学的特性によって駆除努力の空間配分がどのように異なるのかをシステマティックに求め、個々の外来種の特性にあわせた駆除手法を提示できるような一般理論を導出する。
備考
関連重点分野:中核研究プロジェクト「環境リスク研究プログラム(4)生物多様性と生態系機能の視点に基づく環境影響評価手法の開発」
- 関連する研究課題
- 24747 : 環境リスク研究分野における研究課題
- 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題
課題代表者
横溝 裕行
- 環境リスク・健康領域
リスク管理戦略研究室 - 主幹研究員
- 博士 (理学)
- 生物学