- 予算区分
- AQ センター調査研究
- 研究課題コード
- 1113AQ003
- 開始/終了年度
- 2011~2013年
- キーワード(日本語)
- 成層圏オゾン,地球温暖化,化学気候モデル
- キーワード(英語)
- stratospheric ozone, global warming, chemistry climate model
研究概要
成層圏のオゾン層破壊の進行や今後のオゾン層の回復は、過去や将来の対流圏気候の変化に無視し得ない影響を及ぼしているとの認識が、近年深まってきている。また、対流圏での温暖化は、その気象場や化学場の変化を通して成層圏での大気循環や化学物質の濃度・分布に影響を及ぼすと考えられている。一方で、地球温暖化にともなう気候変化研究においては、成層圏オゾン層の破壊・回復の影響が必ずしも十分には考慮されていないのが現状である。以上のことから、本研究では、過去から将来にわたるオゾン層破壊物質と温暖化ガス濃度変化に関連した成層圏および対流圏の2つの地球規模環境問題を一体化して、その相互作用のメカニズムや影響の大きさを明らかにすること、それによって変化予測の不確実性の低減を図ること、ならびに温暖化対策とオゾン層保護の両面からの対策・対応のベストマッチ案の立案のための予測データを提供すること、を目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:
全体計画
最新の気候モデルに成層圏化学過程を導入した新化学気候モデルを開発・改良し、オゾン層破壊物質および温室効果ガスの最新の放出シナリオに基づいた計算を行い、その結果を解析することにより、成層圏変動と対流圏変動の相互作用、対流圏気候における成層圏オゾン層変動の影響を明らかにする。また、気球、衛星、地上分光などさまざまな観測により得られた極成層圏雲(PSC)に関する情報をもとに、PSCがオゾン層破壊に与える影響を調べるとともに、化学気候モデルにおける不均一反応過程の妥当性および改良の方向性を検討する。
今年度の研究概要
太陽11年周期と成層圏準2年振動の位相に着目した成層圏−対流圏結合、中緯度下部成層圏オゾンの増加が対流圏に及ぼす影響のメカニズム、南極におけるオゾンホールの大きさ・深さと対流圏起源の波動活動の関係、などに関する解析を行う。また、2010年の北極における成層圏オゾンや関連化学物質を対象として、化学輸送モデルとSMILES衛星観測データの比較解析を行う。さらに、人工衛星CALIPSOや地上観測によるPSCの観測データと、衛星マッチ解析によるオゾン破壊量との見積もりの比較から、PSCのタイプとオゾン破壊量の関係に関して解析する。
- 関連する研究課題