ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

アジア地域における廃電気電子機器の処理技術の類型化と改善策の検討(平成 21年度)
Classification of e-waste recycling technology in Asian developing countries

予算区分
BE 環境-循環型社会
研究課題コード
0911BE006
開始/終了年度
2009~2011年
キーワード(日本語)
廃電気電子機器,物質フロー分析,資源回収,有害物質,使用済み
キーワード(英語)
WEEE, Material flow analysis, Material recovery, Hazardous substance, End-of-life

研究概要

近年、アジア地域においては、電気電子機器廃棄物(E-waste)の不適正なリサイクル・廃棄による環境汚染の問題が指摘されており、発生・流通量の増大や環境規制・処理施設の未整備などから対策が急務となっている。本研究では、アジア3ヶ国程度の現地において海外専門家との共同で現地調査を実施することにより、信頼性のあるマテリアルフローの情報を提供し、E-waste処理技術を資源性・有害性の観点から類型化する。さらに、どのような国際技術協力や設備投資、管理・法規制が必要かなどの改善策を検討することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

21年度 日本および韓国からのE-wasteの輸出状況を調査する。現地調査等により、アジアの途上国の研究機関との協力可能性やリサイクル工程に関連するデータの収集可能性を調査し、研究班員以外のE-wasteリサイクルの資源性・有害性に詳しい専門家の意見聴取も交えて、調査内容や調査地域を絞り込む。研究対象国の研究者・専門家を招へいし、次年度以降の調査内容や研究の枠組みについて検討し、国際共同研究の体制を整える。
22年度 研究対象国におけるリユース、リサイクルおよび処理状況を調査し、その実態を既存の発生量データの推計方法に反映させることで、前提となる条件を精査し発生量のデータの精緻化を図る。比較対象とする複数の現場を訪問し、様々な工程や条件の違いを考慮して、環境試料の採取・分析方法や技術レベルを類型化する際のキーポイントを抽出し、技術レベルの類型化の骨格を構築する。設定した枠組みに沿って、国内および研究対象国においてリサイクル工程のインベントリデータおよび環境試料の収集・分析を行い、関連情報を収集する。
23年度 研究対象国における実態調査の結果をもとに使用年数分布などを新たに設定し、推定しなおした発生量の計算結果をまとめて、マテリアルフロー全体を図示する。技術レベルの類型化について、資源性金属回収量、有害性金属の環境放出量のデータの分析結果をまとめる。必要に応じて現地調査等により追加情報を収集し、類型化手法の向上、評価項目の拡充を行う。技術レベル、社会経済状況に応じた改善策を検討し、アジア地域における適正なE-waste管理の実現や国際技術協力の推進に資する知見をまとめる。

今年度の研究概要

1.廃電気電子機器の発生・輸出状況とマテリアルフローの把握
日本および韓国におけるE-wasteのマテリアルフロー、発生・輸出状況について、各種統計や文献から実態を把握する。韓国における電気電子製品の保有および廃棄状況に関する調査を行い、排出量推計を試みる。海外輸出にかかるコスト・経済インセンティブについても、定性的・定量的な情報を収集し把握する。また、アジアの発展途上国において、E-wasteの輸入または国内発生、リユース・リサイクル・最終処分の状況について、定性的・定量的な情報を収集する。
2.処理技術の類型化と資源性・汚染性評価
既存のアジア地域のE-wasteリサイクル現場における処理方法、各種施設の情報、現場・工程の写真・映像などの情報を整理し、処理プロセス・施設の情報を整理するフォーマットの案を作成する。アジアの3ヶ国程度の地域において、技術レベルが異なる現場・施設を訪問し、処理リサイクル工程を詳細に調査する。特に有価金属の回収状況や残渣や廃ガス・廃水の発生、環境中への放出状況について、定性的・定量的な情報収集も試みる。さらに、それらの相違点・共通点を分析し、類型化の方法を検討する。
3.現状改善策の検討と政策提言
アジアの調査地域・国における、E-waste発生量・輸入量、処理・リサイクルコスト、法規制や社会経済状況などを踏まえたうえで、環境負荷低減に資する適正なE-waste処理、管理を実現するために障害となっている事柄や課題について分析する。また、現状を改善するためには、どのような処理プロセスの変更、対策が必要かについて議論し、国際技術協力や設備投資、管理・法規制や社会システム導入が必要かについて議論を進める。

備考

共同研究者:小島道一・坂田正三(以上,アジア経済研究所),松下和夫(京都大学大学院)
共同研究機関:フィリピン大学,ハノイ工科大学,嘉興学院

課題代表者

吉田 綾

  • 資源循環領域
    資源循環社会システム研究室
  • 主任研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,経済学,政策学
portrait

担当者