- 予算区分
- AG 特別研究
- 研究課題コード
- 0608AG457
- 開始/終了年度
- 2006~2008年
- キーワード(日本語)
- 多次元分離,GCxGC,ダイオキシン,PAH,水酸化PCB
- キーワード(英語)
- MULTI-DIMENSIONAL SEPARATION, GCXGC, DIOXINS, PAH, HYDROXY PCB
研究概要
本研究では,残留性有機汚染物質の分析に対する高いニーズに応えるために,高精度・高感度・迅速・多成分同時分析法を開発することを目的とする.
(1)ダイオキシン類(DXNs)をはじめとする残留性有機汚染物質(POPs)の分析には,多工程と高度な技術を要する等の難しさがあり,研究や対策の大きな障害となっていることから,それらの迅速・高精度・高感度分析法を開発する.
(2)広範な汚染が見いだされているパーフルオロオクタン酸などの環境挙動を解明するには,関連物質を包含した研究が不可欠である.近年,パーフルオロカーボン(PFCs)の大気への放出や大気経由の輸送が注目されていることから,それらの多成分・高精度分析法を開発する.
(3)環境中に蓄積されたPCBsの問題は依然重要であるが,特に,PCBsの代謝物である水酸化PCBs(HO-PCBs)は,甲状腺ホルモンかく乱作用が報告されるなど,生体影響の解明が急がれている.HO-PCBsには多数の異性体があり,毒性には大きな差があると考えられるため,それらの超高度分離分析法を開発する.
技術的には,分析法の開発を多次元ガスクロマトグラフ(GCxGC)及び高分解能飛行時間型質量分析計(TOFMS)の組み合わせによる超高分離・高精度測定技術の開発を中心に進め,その開発・改良により,有機分析の発展とブレークスルーを目指す.
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
(1)DXNsやその他のPOPsなどについて,GCxGCとTOFMSを組み合わせ,測定時に夾雑物から対象物質を分離し,高感度検出することで,前処理を省略する迅速で正確な分析法の開発を行う.大気中のHCHs,BHC,排ガスや大気中のPAHs,環境試料全般のDXNsをとり上げ,物質に応じた測定条件の最適化や媒体毎の夾雑物の影響の把握とその回避方法の検討を行い,環境試料の実測,既存分析法との比較などにより分析法の検証を行う.気体試料については熱脱着(TD)技術を応用した全量注入による高感度化の検討も行う.GCxGC/TOFMSの多次元情報の解析手法開発や,装置の改良や技術開発などは,必要に応じメーカーと協力しながら進める.(2)PFCsが廃棄物や製品の燃焼で大気中に放出される可能性について,標準品やフッ素化学製品を様々な温度やガス雰囲気等で熱分解GC/MS(Py-GC/MS)により測定し,発生する物質を検索する.大気中のFTAsと各種フッ素化合物の多成分同時分析法の開発をGC/MSを中心に行う.環境大気への適用によって開発した分析法の有効性を検証する.(3)HO-PCBs異性体のうち特に毒性学的に重要と考えられるモノ水酸化体について,GCxGC/TOFMSを用いた超高分離分析法の開発を行う.PCBsとの同時分析を視野に入れた前処理法の検討や異性体分離条件の最適化の検討を標準品を用いて行う.開発した分析法を生体試料や環境試料に適用し,有効性を検証する.
今年度の研究概要
(1)HCHs,HCB,DXNsやPAHs等の標準品を用い,GCxGCとTOFMS条件の最適化の検討を行う.高濃度試料中DXNsのGCxGC/TOFMSによる直接分析法の検討を行う.バックグランド大気中HCHs,HCB等のTD-GCxGC/TOFMSによる高感度・迅速分析法の検討を行う.GCxGC/TOFMS分析で必要とされる装置改良等をメーカーと共同で検討する(装置改良等の検討はH18〜H20を通じて実施).(2)Py-GC/MSによるPFCs熱分解生成物の検索と大気からの検出可能性を検討する.(3)HO-PCBsの標準品を用いてGCxGCによる異性体分離条件を検討する.TOFMSによる各異性体の精密マススペクトルの測定を行う.PCBsとの同時測定の可能性も検討しつつ前処理法を開発する.
備考
装置及びソフトウェアの開発を日本電子株式会社及びゲステル株式会社等と共同して実施する。
- 関連する研究課題
- 0 : 化学環境研究領域P