2008年12月26日
環境化学物質の高次機能への影響を総合的に評価するin vivoモデルの開発と検証(特別研究)
平成17〜19年度
国立環境研究所特別研究報告 SR-80-2008
本研究課題では,(1)環境ストレスに対し免疫・アレルギー影響が出現しやすい動物を用い,環境汚染化学物質のアレルギー増悪影響を簡便に評価することが可能なin vivo(生体内)スクリーニングモデルを完成しました。(2)多くの環境化学物質について,アレルギー増悪作用の有無を短期間に評価することができました。(3)ある種の化学物質が,既存の臓器毒性より求められた無毒性量(NOAEL)より低用量で,アレルギー増悪影響を発揮することが明らかになりました。(4)DNAマイクロアレイの併用やin vitro(試験管内)スクリーニング手法の導入により,より簡便に環境化学物質のアレルギー増悪影響を推定することができるスクリーニングシステムを提案することができました。以上より,古典的な毒性ではなく,【生命・生体システムのかく乱に基づく健康影響】という新たな健康影響の評価軸を提言し,こうしたかく乱影響が,臓器毒性に比較してより低い濃度でも惹起されうることを示し,科学的なインパクトと共に,化学物質規制のための環境政策に新たな方向性を示唆することができました。
(環境健康研究領域 高野裕久)
関連新着情報
関連記事
表示する記事はありません
関連研究報告書
関連研究者
表示する記事はありません