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日本LCA学会 論文賞

  • 受賞者:
    森野悠、大原利眞
  • 受賞対象:
    原子力発電所事故によるI131の環境影響評価:排出地点および時期を考慮した健康影響評価と考慮しない場合の比較 (Journal of Life Cycle Assessment, Japan, 9(3), 206-220, 2013)
  • 受賞者からひとこと:
    この度、上記論文に対して日本LCA(ライフサイクルアセスメント)学会より論文賞をいただきました。本論文は主著者である東京都市大学の伊坪徳宏先生、およびみずほ情報総研の久保利晃氏との共同研究の成果です。国立環境研究所で実施した大気シミュレーションの結果を基に、ライフサイクル影響評価手法を用いて福島第一原発事故で放出された放射性物質に起因する健康影響を評価しました。今回の評価を嬉しく受け止めるとともに、放射性物質の動態・影響の解明に向けた研究は課題が山積みですので、今後ともますます精進してまいります。

Award for Excellent Poster Presentation, Korea Society of Waste Management

  • 受賞者:
    石垣智基、佐藤昌宏、石森洋行、遠藤和人、山田正人
  • 受賞対象:
    Potential of Anaerobic Biological Gas Generation of Waste in the Landfill under Post Closure Care (30th Anniversary Conference of Korea Society of Waste Management, Abstracts, 2013)
  • 受賞者からひとこと:
    韓国廃棄物学会の設立30周年記念大会において実施された国際ポスターセッションでの発表が評価され受賞に至りました。廃棄物の中間処理・資源化の残さを埋立処分することは、埋立地の長期的な環境安全性の確保に関わります。中間処理の対象や方法は日本と韓国で異なりますが、埋立廃棄物を速やかに生物的に不活性な状態にする方針は同じであり、それを評価するためのガス発生のポテンシャルの計測手法の開発と適用事例についての報告に、強い関心を持っていただくことができました。国際的に見てアジアの情報がやや不足している分野であることから、引き続き関連の研究グループと協力して知見の蓄積に努めたいと考えています。

日本植物細胞分子生物学会 論文賞

  • 受賞者:
    久保明弘、青野光子、中嶋信美、西沢徹、玉置雅紀、佐治光
  • 受賞対象:
    Characterization of hybrids between wild and genetically modified glyphosate-tolerant soybeans (Plant Biotechnology, 30, 335-345, 2013)
  • 受賞者からひとこと:
    日本植物細胞分子生物学会の学会誌Plant Biotechnologyに2013年に掲載された原著論文の中から、上記論文が論文賞に選出されました。本論文は、遺伝子組換えダイズと野生種ツルマメとの雑種の性質を調べたものです。東アジアにはダイズの原種と考えられているツルマメが自生しており、低頻度ながらダイズと交雑可能であるため、遺伝子組換えダイズの開放系利用の承認に際して、生物多様性影響評価検討会は、これらの雑種に関する知見の充実を公的機関に要請しました。本論文は、それを受けて平成18~22年度に実施した環境省及び農林水産省からの委託研究の成果を取りまとめたもので、ダイズとツルマメの遺伝子を半分ずつ含む雑種は両者の中間的な性質を示すこと、ツルマメと戻し交配したツルマメの遺伝子の割合が高い雑種はツルマメに近い性質を示すこと、導入された除草剤グリホサート耐性遺伝子は雑種でも機能するが、除草剤を使わなければ影響はないことなどが明らかになりました。理論的に予想される結果ですが、実験データを示すことが社会的に求められているため、それを詳細に示した点が高く評価されたものと考えております。

レーザ・レーダ研究会 最優秀ポスター賞

  • 受賞者:
    神慶孝、杉本伸夫、西澤智明
  • 受賞対象:
    CALIPSOライダーの雲マスク改良による氷粒子出現頻度の変化(第32回レーザセンシングシンポジウム予稿集,34-35, 2014)
  • 受賞者からひとこと:
    本研究は、衛星搭載ライダーの後方散乱信号を用いて同定された雲と鉱物ダストの誤識別が、乾燥地域上空の氷粒子発生頻度の温度分布にどれだけ影響を与えるのかを調べたものです。衛星搭載ライダーによって全球の雲鉛直分布の観測が実現していますが、現状の解析手法では乾燥地域上空の鉱物ダストを雲と誤識別してしまう問題があります。その結果、乾燥地域上空での氷粒子発生頻度は過大評価される傾向がありました。本研究では、判別分析手法によって雲と誤判別雲の識別に成功し、雲と鉱物ダストの誤識別を軽減させることができました。また、誤識別によって中国北西部のタクラマカン砂漠上空で氷粒子発生頻度が最も過大評価だったことがわかりました。今後、本研究は気候モデルの氷粒子形成パラメタリゼーションの改良などへの貢献が期待されます。今回の受賞は、ライダー計測による雲・エアロゾルの気候影響問題への取り組みが評価されたものと理解しています。

土木学会地球環境委員会 平成26年度地球環境論文賞(JSCE Award)

  • 受賞者:
    長谷川知子、藤森真一郎、高橋潔、増井利彦
  • 受賞対象:
    気候緩和策による食料消費への影響分析(土木学会論文集G(環境),69(5), I_1-I_12, 2013)
  • 受賞者からひとこと:
    本論文では、世界全体の平均気温上昇を産業革命以前から2℃以下に抑える(いわゆる2℃目標と呼ばれる)ような緩和策を強く実施する場合に、これまで評価されていなかった、食料作物とエネルギー作物による土地資源を介した競合とマクロ経済の変化による食料消費への影響が、気候変化による作物収量変化による影響と同程度であり、緩和策の評価において重要であることを明らかにしました。今後の緩和策の評価における新たな視点を示しているととらえています。

土木学会地球環境委員会 平成26年度地球環境論文賞(JSCE Award)

  • 受賞者:
    藤森真一郎、増井利彦
  • 受賞対象:
    エネルギー機器情報を用いた応用一般均衡モデルの開発と緩和策の分析(土木学会論文集G(環境),69(5), I_227-I_238, 2013)
  • 受賞者からひとこと:
    これまで私たちは気候変動緩和策の分析に統合評価モデルAIM/CGEを用いてきました。このモデルはエネルギーエンドユース技術(例えば自動車の種類やエアコンの効率など)が抽象的な関数で扱われていました。本論文ではこれらをより具体的に扱うことで、モデルの現実性を向上させました。例えば、従来モデルでは交通部門のエネルギー消費量が主としてエネルギー価格とその価格の変化に対する弾性値で決まるという集約的な構造となっていました。一方、今回開発したモデルでは交通部門は旅客・貨物が輸送機関別に分かれており、さらにそれぞれの輸送機関は異なるエネルギー源を用いたり(ガソリン車か電気自動車か)、エネルギー効率(ハイブリッドかガソリンエンジンか)が異なる技術オプションを選択します。具体性の向上により、将来の温室効果ガス削減政策の評価等に有用な情報提供が可能となりました。今後も気候変動緩和策、適応策の政策分析をより有効な形で行えるようにモデル開発、適用という形で社会貢献したいと考えています。

2014年度環境経済・政策学会 奨励賞

  • 受賞者:
    岡川梓
  • 受賞対象:
    ヘドニック・アプローチによる東京都区部の洪水被害額の計測-浸水リスク変数の内生性を考慮した分析- (環境経済・政策研究,5(2), 58-71, 2012)
  • 受賞者からひとこと:
    「ヘドニック・アプローチによる東京都区部の洪水被害額の計測-浸水リスク変数の内生性を考慮した分析-」(日引聡氏、小嶋秀人氏との共著)に対して、奨励賞をいただきました。本研究は、防災・減災のための対策を実施した場合の便益を知ることを目的とし、浸水危険性による土地価格の違いを利用して、土地市場が評価している洪水被害額を計測したものです。日本は欧米に比べ、社会科学的な知見が政策導入の議論に活かされていないという意識を持っており、一経済学者として、政策の現場で信頼される質の高い研究成果を蓄積していく、その一翼を担いたいと思ってきました。したがって、今回、研究成果の政策への貢献可能性を評価していただいたことに、大きな喜びを感じています。今後も環境を始めとする社会問題解決に対して科学者としての立場から貢献できるよう、研究活動・情報発信に努めていきたいと思います。

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