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気候変動枠組条約第16回締約国会議・京都議定書第6回締約国会合(COP16/CMP6)カンクン(メキシコ)での活動報告

【研究所行事紹介】

企画部 広報・国際室

 2010年11月29日(月)から12月10日(金)まで、メキシコのカンクンにおいて気候変動枠組条約第16回締約国会議・京都議定書第6回締約国会合(COP16/CMP6)が開催されました。この会議は、同条約の締約国の政府代表団が一堂に会し、気候変動問題についての取り組みを進展させるための国際交渉の場として、毎年開催されているものです。

 国立環境研究所は、2004年に開催されたCOP10から、サイドイベントの開催や会場でのブース展示等を通じ研究成果のPRを行ってきました。COP16/CMP6での当研究所の活動について、以下に紹介します。

 会議5日目の12月3日(金)、地球環境戦略研究機関(IGES)およびアジア開発銀行(ADB)と共同で、「アジア太平洋地域における低炭素で気候変動の影響に対応可能な発展への移行(Shifting to Low-Carbon and Climate-resilient Development in Asia and the Pacific)」と題するサイドイベントを開催しました。

 当研究所からは甲斐沼温暖化対策評価研究室長が登壇し、アジアの研究者と協力して実施してきた「アジア低炭素シナリオ」研究について、シナリオの開発から実際のプロジェクト活動まで、インド、中国、マレーシア、および日本(京都、滋賀)の例を中心に、アジア諸国での現況と今後の展望を紹介しました。また、パネルディスカッションには藤野主任研究員が参加し、低炭素社会シナリオの実践に関する質問等について、来場者と活発な議論を交わしました。

「アジア太平洋地域における低炭素で気候変動の影響に対応可能な発展への移行(Shifting to Low-Carbon and Climate-resilient Development in Asia and the Pacific)」と題するサイドイベント

 COP16/CMP6では、サイドイベントが行われたカンクンメッセと、会議等の行われたムーンパレスホテルの二つの会場が使用されました。同ホテルへの移動の際の起点ともなるカンクンメッセには、ブース展示会場も併設され、約200の国や国際機関、研究機関、市民団体の展示ブースが設けられました。国立環境研究所もここに展示ブースを設置し、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測データや、持続可能な低炭素社会構築に関する研究、スーパーコンピュータを用いた気候変動予測等をはじめとして、当研究所における地球温暖化・気候変動研究の活動や成果について、映像の放映や資料CDの配布等を行って広く紹介しました。

カンクンメッセでのブース展示会場

 さらに、今回の会議では当研究所の職員3名が政府代表団の一員として加わり、それぞれ温室効果ガスインベントリ(温室効果ガスがどのような場所からどれだけ排出・吸収されたかを示す一覧表)や、REDD+(途上国の森林減少・森林劣化に由来する温室効果ガスの排出の削減および、森林保全等による炭素ストックの増加策)等の専門家の立場から会合に参加しました。時には深夜にまで及ぶハードな交渉に協力し、議論の進展に貢献しました。

 次回のCOP17/CMP7は南アフリカのダーバンで開催されます。京都議定書の第1約束期間(排出削減目標の実行期間、2008~2012年)終了後に制度の空白期間を生じさせないためには、COP17/CMP7で次期枠組みの合意を得る必要があることから、気候変動に関する国際交渉の一つの節目として大きな注目が集まると予想されます。そのことからも、当研究所としても今回の活動を踏まえ、更なる活動の展開を図っていくこととしています。