木漏れ日便り
研究所構内の林では,マツ枯れのためと思われるアカマツの枯死など,毎年数十本の高木が枯れてしまい,ぽっかりと穴が空きます(写真1)。林の下は藪にならないように定期的に刈り入れをしているので,すき間を埋める木も育ってきません。時々は補植をしてきたのですが,種類の選定にはとくに方針はありませんでした。しばらく前に植えたタブノキやマテバシイといった常緑広葉樹は元気に育っていますが(写真2),こうした木ばかりが大きくなると林の中は暗くなります。明るい林床で咲く花(写真3)が消えてしまうと,散歩の楽しみも減ってしまいます。そこで,庭園的なところや道沿いの並木は別として,半自然的な林は明るい雑木林をイメージした植栽を進める方針を立て,昨年度末に落葉高木の苗を15種あわせて100本ほど植えました(写真4,5)。選んだ樹種は筑波山麓に自然に生えているのを見かけるような樹種がほとんどです。低木の苗も約20種,200本ほど植えました。これらも自然に生えるような種類が中心で,花や実が楽しめるものを選びました(写真6)。植栽した木がしっかり根づいて元気に成長を始めるまで,長い目で見守ってください。これから育っていく林が地域の自然の一部となり,鳥,動物,昆虫の住処にもなることを期待しています。
(竹中明夫)
写真1 何本もアカマツが枯れたあとのすき間
写真2 しばらく前に植栽した常緑のタブノキ
写真3 明るい林内で春に咲くアマドコロ
写真4 あらたに植栽したイヌシデ
写真5 同じく植栽のクヌギ
写真6 ウツギの花