国立環境研究所の2つのホームページの最近から
ネットワーク
小沢 晴司
環境研究と並び,環境保全に関する国内及び国外の資料の収集,整理,及び提供業務が,任務となっている国立環境研究所は,環境分野では,国内でも最も人気のあるといわれる2つのホームページ(HP)を管理している。一つは国立環境研究所のHPであり,もう一つは,環境庁HPを中に含んだEIC ネット(環境情報提供システム)である。
各システムの概況は以下のとおり(参考としてEIC ネット内の環境庁HP も掲載)。
次表は,上述のシステムのうち,EICネット(環境庁HP含む)において,現在どのようなページが利用されているか,大まかな傾向を理解するためにまとめたものである。
システム(HP)名 国立環境研究所HP EICネットHP(環境庁HP)
目的 | 研究情報・研究所案内情報等提供 | 環境基本法に基づき,環境保全活動推進等のため,国,民間,NGO 等多様な情報を提供・交流させる | 環境庁行政情報の提供 |
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サーバ設置 | 茨城県つくば市:国立環境研究所 | 東京都港区虎ノ門:(財)環境情報普及センター | 同左 |
開設 | 1995年3月 | 1997年1月 | 同左 |
利用状況(※) 月間アクセス数 |
約120万件 (2000年4月分) |
約340万件 (2000年4月分) |
同左 |
備考 | 平成12年5月全体的な変更実施 | 所内研究者等の協力により構築,運営等を実施 | EIC 内の行政情報を束ねたものを便宜上称するもの |
※利用状況の,月間アクセス数は,総ページヒット数
PRTR(関係する主なページの合計) | 89,014 |
環境庁HP トップページ | 87,084 |
EICネットHP トップページ | 51,364 |
新着情報 | 49,677 |
名水百選(関係する主なページの合計) | 45,701 |
地球温暖化クイズ | 22,740 |
環境庁報道発表資料 | 21,524 |
ダイオキシン対策関係 | 16,197 |
環境法令・条例・条約 | 13,065 |
環境白書・環境基本計画 | 11,947 |
EIC ネット情報検索 | 11,315 |
循環型社会形成推進基本法 | 11,244 |
環境情報ガイドデータベース総合索引 | 11,084 |
市民のイベント情報書き込み掲示板 | 10,399 |
森林クイズ | 10,116 |
注:上表の右欄数字は,左欄各ページ2000年4月のヒット数
全体的な傾向を見れば,PRTR のページは,アクセス数の非常に多いコンテンツ(内容/項目)となっている。これは環境汚染物質排出移動登録システムで,身の回りで作られる毒性のある物質が,製造から廃棄に至る過程の中で,どのように移動し,環境中に排出されるかといったことを登録し,公表していく制度である。最近,化学物質等による環境汚染が身近に頻発する状況から,このような制度への市民の関心の高さを物語っているのではないだろうか。
また,地球温暖化や森林等に関する環境クイズもアクセス数が多い。同じEICネット内のエコライフガイド(環境にやさしい生活ガイド)のページとともに,日頃より環境学習教材会社等から,利用についての問い合わせの多いコンテンツである。さて,当研究所では,昨年以降EIC ネットで提供する情報をより充実させるため,次のような作業を行ってきた。
1999年5月 環境数値データ提供のページの開設
1999年8月 環境イベントに関する市民からの書き込みのページの開設
2000年4月 環境庁自然保護局の現地機関であるところの自然保護事務所(全国11カ所,旧名:国立公園・野生生物事務所)のページの開設
2000年5月 こどものための環境のページの開設
環境数値データ提供のページは,大気,水質にかかる全国の環境の状況に関する監視データをHPから提供するシステムである。1997年までの8年分の膨大なデータにアクセスできる(国立環境研究所ホームページからも同時提供)。
環境イベントに関する書き込みのページは,自治体やNGO,市民等が実施するイベント,研修,助成についての全国からの情報を,それぞれの主催者が自由に提供するための場所である。
これらは,いずれも開設当初から多くのアクセスがあり,今後も利用の進むページであると期待している。
さて,イベント書き込みのページや,自然保護事務所のページ,子どものためのページも,また,もちろん国立環境研究所のホームページも,様々な環境分野や地域において生成される環境情報を載せるためのプラットホーム(場)にすぎない。
これらのプラットホームを活用し,情報生成を行う側(特に公共セクター)が,可能な限り,市民の行動選択のための判断材料となるよう,使いやすい形で環境情報を提供していくことが肝要であろう。
このことを前提とすれば,業務に当たる者は,その職務の目的の一つが,これら情報提供(とりわけ環境情報)にあることを使命として理解していることが必要ではないだろうか。この際,環境庁,及び,今後も,情報の収集,整理,提供が,業務として法に明定される国立環境研究所においては,全組織をあげて,この目的を達成するために努力することが求められるのではないかと考えている。