平成10年度地方公共団体公害研究機関と国立環境研究所との共同研究課題について
清水 明
地方公共団体公害研究機関(地公研)と国立環境研究所(国環研)が緊密な協力のもとに環境研究を発展させて行くことを目指し,平成元年から地公研との共同研究が開始された。表2に平成10年度に予定している共同研究課題の一覧表を示す。内訳としては,18機関35課題(新規が8課題)が寄せられている。表1に現在までの参加機関数及び課題数の推移を示す。これによると,平成5年度付近をピークに下降してきており,すでに制度が発足して10年近くになることから,途中で募集要項の改正等はなされているものの,もう一度制度全般を考えてみるべき時期にさしかかったことを示唆しているのかも知れない。しかしながら,このような国内全域を網羅する研究機関との研究協力を行える制度が持つ潜在的な可能性は,地公研・国環研双方にとって,今後の環境研究を発展させて行く上で益々重要になってくるものと考える。
(しみず あきら,研究企画官)
表1 地方公共団体公害研究機関と国立環境研究所との共同研究課題数の推移
年度 | 元 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
研究機関数 | 25 | 21 | 25 | 28 | 31 | 24 | 26 | 26 | 24 | 18 |
課題数 | 46 | 49 | 55 | 59 | 57 | 40 | 42 | 41 | 40 | 35 |
表2 平成10年度地方公共団体公害研究機関と国立環境研究所との共同研究課題一覧
(平成10年2月12日現在)
地公研機関名 | 課題名 | 国環研担当者 |
北海道環境科学研究センター | 河川における農薬流出量の定量評価の研究 | 井上隆信 |
湖沼の N, P, Si 含量およびその元素比と植物プランクトン組成に関する研究 | 高村典子 | |
リモートセンシングによる湿原環境モニタリング手法の研究 | 田村正行 | |
宮城県保健環境センター | 環境汚染物質であるダイオキシン類の分析法に関する研究 | 森田昌敏・伊藤裕康 |
福島県衛生公害研究所 | 酸性降下物中に含まれるリン酸の量とその季節変化 | 佐竹研一 |
新潟県保健環境科学研究所 | 新潟県六日町地域の地盤の圧縮特性と消雪用地下水の揚水による地盤沈下 | 陶野郁雄 |
環境中におけるダイオキシン類の分布に関する調査研究 | 伊藤裕康 | |
河川中における農薬類の存在と生態系への影響評価 | 畠山成久・菅谷芳雄 | |
廃棄物から発生する揮発性化合物類の同定と定量 | 安原昭夫 | |
東京都環境科学研究所 | 有用生物と資源を活用した汚濁水域の水質浄化リサイクル・修復エコシステムの開発(水生生物との共存を図る人工海浜等の造 成材質についての基礎的な研究) | 稲森悠平 |
神奈川県環境科学センター | 環境中での農薬の分解消失に関する研究 | 井上隆信 |
福井県環境科学センター | 有用生物と資源を活用した汚濁水域の水質浄化・リサイクル・修復エコシステムの開発 | 稲森悠平 |
長野県衛生公害研究所 | 車軸藻の絶滅・絶滅危惧種の保護と自然界への復元に関する研究−車軸藻類を中心にした湖沼水草帯の復元手法と水質浄化機能の検討− | 渡辺 信 |
河川における農薬流出量の定量評価の研究 | 井上隆信 | |
バックグランド地域における酸性・酸化性物質の動態の解析に関する研究 | 村野健太郎・畠山史郎 | |
山岳地域におけるハロゲン化メチルの測定に関する研究 | 横内陽子 | |
水域におけるトリハロメタン等生成前駆物質の挙動に関する研究 | 今井章雄 | |
廃棄物埋立処分に起因する有害物質による環境影響評価に関する研究 | 白石寛明 | |
名古屋市環境科学研究所 | 微生物を利用した土壌汚染物質の浄化処理 | 矢木修身 |
大阪府公害監視センター | 騒音苦情と土地利用の相関などに関する解析 | 大井 紘 |
有害化学物質による環境負荷の定量化とその影響の評価手法の検討 | 森口祐一 | |
兵庫県立公害研究所 | 環境有害化学物質としての界面活性剤の河川環境への影響 | 井上隆信 |
山林域における水質形成と汚濁負荷流出過程に関する研究 | 井上隆信 | |
鳥取県衛生研究所 | 藻類の異常発生機構に関する研究 | 矢木修身 |
岡山県環境保健センター | 難分解性化合物分解菌の検索および特性に関する研究 | 内山裕夫 |
有用生物資源を活用した汚濁水域の水質浄化・リサイクル・修復エコシステムの開発 | 稲森悠平 | |
広島県保健環境センター | 汚濁水域の地域有用資源を活用した水質浄化・リサイクル・修復システムの開発 | 稲森悠平 |
福岡県保健環境研究所 | 河川における農薬流出量の定量評価に関する研究 | 井上隆信 |
酸性汚染物質による環境汚染に関する研究 | 佐竹研一 | |
福岡県における酸性物質および酸化性物質の挙動 | 村野健太郎・畠山史郎 | |
リモートセンシング情報の特徴抽出による環境モニタリング | 田村正行 | |
長崎県衛生公害研究所 | 長崎県における酸性物質及び酸化性物質等の挙動に関する研究 | 村野健太郎・畠山史郎 |
鹿児島県環境センター | 湖沼の N, P, Si 含量及びその元素比と植物プランクトン組成との関係に関する研究 | 高村典子 |
九州南部(奄美大島・鹿児島等)地域における酸性,酸化性物質等の動態の解析に関する研究 | 村野健太郎・畠山史郎 佐竹研一 |
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沖縄県衛生環境研究所 | 辺戸岬地上観測施設における環境酸性化物質の物質収支に関する研究 | 村野健太郎・畠山史郎 |