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第12回全国環境・公害研究所交流シンポジウム

笹岡 達男

 第12回全国環境・公害研究所交流シンポジウムが,当所セミナー委員会の主催により,平成9年2月19〜20日に開催された。この交流シンポジウムは,「環境研究に関する研究発表,意見交換を通じて地方公害研究所と国立環境研究所の研究者間の交流を図り,共同研究等の新たな展開に役立てるとともに,環境研究の一層の推進を図ることを目的とする」(全国環境・公害研究所交流シンポジウム実施要領)という趣旨で,昭和61年1月に第1回が開かれて以来,毎年第4四半期に開催されている。

 今年度は,「環境モニタリング」というテーマのもとに,2日間合わせて13件(地公研8,国環研5)の研究発表と,特別講演1題という構成で行われた。

 研究発表の内容は,大気関係と水関係がそれぞれほぼ半分を占め,モニタリングのフィールドとしては,都市内など居住地周辺の身近な場所から,世界自然遺産地域や離島等のバックグラウンド的な場所,あるいは船舶を用いた洋上でのサンプリングを行うものまでが含まれているなど,大変多彩な事例が紹介された。また,トピックとして,国環研側からの研究発表の中に,ナホトカ号の油流出による日本海沿岸地域の汚染状況についての現地調査報告が織り込まれた。

 特別講演では,「地球環境モニタリングの今後の展開−宇宙からのリモートセンシングの活用−」という題で,安岡善文地球環境研究センター総括研究管理官より,現在進められている地球環境モニタリングの概要と,特に人工衛星等からのリモートセンシングを活用した今後の展開の方向が演じられた。

 いささか老朽化の感を免れない大山ホールの音響設備や,私のような不慣れな裏方による運営に悩まされながらも,各発表者及びフロアの参加者各位の熱心な意気込みに支えられて,何とか2日間の日程を無事に終えられたことに内心ほっとしている。

 なお,参加者は地公研を含む自治体関係者が100名,環境庁から2名,国環研から34名の合計136名であった。年度末の多忙な時期に貴重な時間をさいて参加される方々から,真に有意義なイベントであると評価していただくためには,企画面でもさらに工夫が必要であろうと痛感している。地公研,国環研を問わず広く皆様のご意見を聞いて次回以降に結びつけていきたいと考えているので,ぜひともご指導ご鞭撻をお願いしたい。

(ささおか たつお,研究企画官)


プログラム

平成9年2月19日(水)

I. 研究発表

(1)亜酸化窒素(N2O)など地球温暖化ガスの発生源モニタリング 玉置元則(兵庫県立公害研究所)
(2)変異原性を指標とする大気質モニタリング −都市間の比較およびバックグラウンドレベル− 松本 寛(北海道環境科学研究センター)
(3)波照間・落石岬ステーションにおける温室効果ガスのベースラインモニタリング 藤沼康実(国立環境研究所)
(4)白神山地(世界遺産)における大気環境中ガス状物質濃度とその特徴 斉藤勝美(秋田県環境技術センター)
(5)船舶を用いた洋上大気モニタリング 野尻幸宏(国立環境研究所)
(6)光化学オキシダントの現状と今後の課題 柴田和信(長崎県衛生公害研究所)
(7)検知管を用いた環境汚染物質の簡易モニタリング法 佐藤正光(愛知県環境調査センター)
(8)イオントラップ型GC/MSを用いた北九州市沿岸海域の化学物質(285種)調査と汎用一斉分析法の検討 門上希和夫(北九州市環境科学研究所)
(9)定期航路を用いた日本近海の海洋汚染モニタリング 功刀正行(国立環境研究所)

平成9年2月20日(木)

(10)霞ヶ浦に流入する全河川の同日負荷量調査 菊池信生(茨城県公害技術センター)
(11)GEMS/WATER計画と日本の国際協力 中島興基(国立環境研究所)
(12)東京都における水環境中の化学物質調査−化学分析とバイオアッセイ− 佐々木裕子(東京都環境科学研究所)
(13)生物試料を用いた海洋モニタリング(付:ナホトカ号油流出事故に関する予備報告) 柴田康行(国立環境研究所)

II. 特別講演

演題    「地球環境モニタリングの今後の展開−宇宙からのリモートセンシングの活用−」

講師    安岡善文(国立環境研究所地球環境研究センター総括研究管理官)