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 89年以来久しぶりにニュースの編集にたずさわることとなって3年あまりを振り返ってみたら、この間に我々の研究所と世界の政治的情勢とが大きく変わったことにあらためて驚かされ、これは偶然の符合ではなかったかも知れないという思いにかられる。東西の対立が解消した結果世界的な規模での核戦争の危機は急速に遠のき、人類の「終末時計」の針が数分戻されたとかの話を耳にした。そして今後この時計の針が進むか否かは人間が広い意味での環境問題に賢く対処できるかどうかにかかっている。時計の進みは遅くなるだろうけれど、止めることは一層むつかしくなるに違いない。戦争が多くの人々の願いと正反対のところに位置していたのに対して、環境問題は豊かで便利な生活を楽しみたいという人類共通の希求と同じところから派生しているからである。環境問題は人間の「生き方そのものの問題」となりつつあり、環境科学の内容も既成の枠を大きく越えることが求められているように思われる。環境研ニュースを環境科学の新たな展開のためにいささかでも役立てたいものである。(T.F.)