2019年12月26日
セイヨウナタネとその近縁種の関係
—禹(ウ)の三角形—
コラム1
在来ナタネ(Aゲノム 染色体数 n=10)、クロガラシ(Bゲノム 染色体数 n=8)、キャベツ(Cゲノム 染色体数 n=9)はアブラナ属の基本3種と呼ばれています。私たちが研究対象としているセイヨウナタネ(ACゲノム 染色体数 n=19)は在来ナタネとキャベツが交雑したのち、染色体が倍化してできたものです。一方、国内の河川敷でよく見られるカラシナ(ABゲノム 染色体数 n=18)は、在来ナタネとクロガラシが交雑したのち、染色体が倍化してできたものです。ちなみに、クロガラシとキャベツが交雑したのち、染色体が倍化してできたものにアビシニアガラシ(BCゲノム 染色体数 n=17)があります。このアブラナ属の関係は1935年に禹長春(ウ・ジャンチュン)が発見したもので「禹の三角形」と呼ばれています。在来ナタネ、セイヨウナタネ、カラシナはどれもAゲノムを共通して持つため、遺伝子組換えセイヨウナタネとの雑種形成の可能性が高いと考えられるのです。また、A、B、Cの各ゲノムに特異的な塩基配列を検出するDNAマーカーを用いれば、種の同定や雑種の判定に役立てることができます。
図1 アブラナ属栽培植物のゲノム構成とその類縁関係を表す禹の三角形。
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