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有害廃棄物の処理
- アスベスト、PCB処理の一翼を担う分析研究

環境儀 NO.31

野馬幸生/貴田晶子
対策が遅れていた廃アスベストや廃PCB、これらの処理技術開発と評価に分析研究が大きく貢献しています。

 アスベスト(石綿)は建材を中心に大量に使用され、石綿を含む廃棄物の多くは最終処分場に埋立処分されてきました。2005年に石綿による健康被害が社会問題化し、その対策が進められていますが、今後も、毎年100万トン強の石綿を含む廃棄物が数十年間排出され続けるといわれています。これらの廃棄物を適切に無害化する方向性が決まり、飛散しやすい吹き付け石綿が優先的に処理されていますが、全体の対策がいつ終わるのかはわかりません。

 一方、絶縁油として一世を風靡したPCBは、1968年のカネミ油症事件を契機に成立した化学物質の審査および製造に関する法律により製造、輸入、使用が禁止され、使用済みPCBは処理法がないため長期間保管されていました。現在、化学的処理によるPCBの分解無害化事業が進められていますが、全体の処理が終わるのは目標で2016年と、まだまだ先の話です。

 有害性の認識がありながら、安全・安心な処理技術がなかったため、廃石綿と廃PCBは長い間「負の遺産」として存在してきました。国立環境研究所では有害廃棄物対策の面でもさまざまな研究を進めていますが、今回は、石綿、PCBの処理技術の開発や評価に関する分析化学面からの研究を紹介します。