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コラム「地球温暖化の話」

原因

 地球の大気中には,水蒸気・二酸化炭素(CO2)・メタンなどの「温室効果ガス」と呼ばれる気体があります。それらのガスは,地表から放射された赤外線を吸収する働きを持っています。吸収された赤外線の一部は再び地表に向かって放射され地表を暖めます。これが温室効果です。この効果によって地表は約33℃暖められて平均15℃となり,快適な生活空間をつくってきました。ところが産業革命以降の石油や石炭の大量消費や森林伐採により,大量のCO2などの温室効果ガスが大気中に排出され続け,地表付近の気温を急速に上昇させ,地球全体の気候を大きく変えようとしています。これが地球温暖化といわれる現象です。

影響

 氷河の縮小や,永久凍土の融解など,温暖化の影響が世界で観測されています。IPCCの第3次評価報告書は,1990年から2100年の間に気温の上昇は1.4〜5.8℃,海面上昇は9〜88cmと予測しており,すでに温暖化の影響は顕在化していると結論づけています。たとえば,世界の穀物生産への影響では,温暖化の程度が小さいと中緯度地域では農作物の収量は増加するとの予測もあります。しかし温暖化が進むにつれ,世界の穀倉地帯の多くが乾燥するなどマイナスの影響が大きいと予測しています。また日本の米作は高緯度地域では増産,低緯度地域では高温による生育障害が起こるため,複合的には減産が予測されています。一方,海面の上昇は,小さな島国やバングラデシュなどの低地の居住者にとっては深刻な問題です。さらに極端な気象現象の発生頻度や強度が変化し,人間社会への悪影響が懸念されています。

温暖化によって起きる極端な気象と影響
現象 影響
最高気温の上昇 高齢者や都市の貧困層における死亡や重病発生の増加
暑い日や熱波の増加 家畜や野生動物の熱ストレスの増加
観光先,目的地の変更
多くの農作物の被害増加
冷房需要の増大とエネルギー供給の信頼性低下
最低気温の上昇 寒さに関連した人間の死亡率・罹病率の減少
寒い日,霜日,寒波の減少 多くの農作物の損害のリスクの減少
一部の害虫,疫病媒介生物の生息範囲や活動の拡大
豪雨頻度の増加 洪水,地滑り,雪崩,泥流による被害の増加
土壌浸食の増加
洪水流量の増加
政府・民間の洪水保険システムや災害救援への圧力の増大