
今回のフォーラムでは、アジアでも主要な環境問題となっているテーマから5つを取りあげ、最新の研究知見の発表や、全体での議論を行いました。ここでは、各セッションで取りあげられた話題について簡単に紹介します。
環境モニタリング/Environmental Monitoring
登壇者
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大澤高浩 氏(座長)ウダヤナ大学 准教授/衛星リモートセンシング海洋研究センター(CreSOS)副所長
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Nyoman Radiarta 氏 Institute for Marine Research and Observation Indonesia, Director
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越智士郎 氏 JAXA/ アジア工科大学院 地球空間情報センター 客員研究員
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Wayan Nuarsa 氏 ウダヤナ大学 Graduate study on Environmental Science Postgraduate Program 教授
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松永恒雄 氏 国立環境研究所 衛星観測センター 観測センター長
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野田響 氏 国立環境研究所 衛星観測センター 研究員
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David Gaveau 氏 Center for International Forestry Research (CIFOR) Scientist






内容まとめ
このセッションでは、リモートセンシング技術を様々な環境情報の観測に活用している事例についての発表が行われました。人工衛星を主たる観測装置として、沿岸環境の変化、災害(洪水、干ばつなど)、温室効果ガス、森林の状況など、紹介された観測対象は多岐にわたります。発表の中では、観測データはたくさんあるものの、それがローカルレベルの人々の実生活に役立つように応用される必要がある、といった問題提起もありました。NIESが参画しているGOSATプロジェクトも注目され、質疑では、どれくらいのスケール(国、地域、都市など)でデータ収集できるのか、ほかの化学物質については観測できないのか、などの質問がありました。
<関連リンク>
GOSAT http://www.gosat.nies.go.jp/index.html
GOSAT-2 http://www.gosat-2.nies.go.jp/jp/

環境リスクと健康/Environmental Risks and Health
登壇者
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渡辺知保 氏(座長兼発表者) 東京大学 医学系研究科 国際保健学専攻人類生態学教室 教授
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Bambang Wispriyono 氏 Chairman, Environmental Health Specialist, Association Indonesia (EHSA Indonesia) / Lecturer, Dept. of Environmental Health, Faculty of Public Health, Universitas Indonesia
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鈴木規之 氏 国立環境研究所 環境リスク・健康研究センター センター長
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Ady Wiraman 氏 Head of Centre Excellence for Healthy Tourism, School of Public Health, Faculty of Medicine, Udayana University




内容まとめ
このセッションでは、日本が過去経験した環境問題について振り返るとともに、現在インドネシアで問題となってきている環境問題についての発表がありました。昨今のインドネシアでは安全な水の供給や、廃棄物管理に関する問題などの課題に加えて、観光の影響による問題なども起こっています。あるリスクを減らせば別なリスクが生じる可能性もあることや、利益とリスクのバランスを考えていくことが重要、などの指摘がありました。安全安心な環境は持続可能な社会の基盤となるものであり、環境のリスクやそれによる健康への影響について考えることは、持続可能な社会のあり方について議論を進めるうえで欠かすことはできません。
ポスターセッション
今回のフォーラムでは、ポスターセッションも行いました。主催共催4機関の関係者を中心に約40件のポスター発表があり、NIESからも9名が参加しました。

次号では2日目に行った「廃棄物管理とリサイクル」、「生物多様性」のセッションの様子について紹介します。
(文 杦本友里・芦名秀一 研究事業連携部門)
(写真 杦本友里)