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ホーム > 刊行物 > 国立環境研究所ニュース > 10巻 > 1号 (1991年4月発行) > “地球にやさしい社会”とは?

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論評
“地球にやさしい社会”とは?
内藤  正明

いま「地球にやさしい」が時代のキーワードになっている。しかし、これについては言葉が先行してその具体的イメージは大いに混乱しているように思われる。そこで、未熟ながら現時点での私見を述べてみたい。

ここで言う“地球”とは、物体としてのEarthではなく、“将来世代の人類”のことであるのは自明としよう。問題は“やさしい”ことの意味であり、それを判断する規範と尺度は何か、である。

これまで我々が社会の目標としてきた“健康、快適、利便”などは主として現世代のためのものであった。そして、その追求の過程で次世代への配慮を欠くことになり、その結果として現れたのが、今日の地球環境問題であるという認識もそう異論はないと思う。そこで提起されたのが将来への配慮を保証するための“持続性”という新たな規範である。

ここまでは復習であるが、我々の課題はこの“持続性”とこれまでの規範との整合をとってどう社会の仕組みを持続的なものに変革するかということである。その評価基準は“環境負荷の後世への積み残し最小”であり、その尺度は若干の飛躍を許してもらえば、“エネルギー消費量、エントロピー増大量、リサイクル度”といったものになるであろう。もしこの尺度に立った場合、都市・地域のイメージはどんなものであろうか。再度の飛躍をあえてすれば、究極的には、

*「居住形態」:自然エネルギー(太陽、風、水)と自然浄化(生物的分解)を最大限活用するために

……→「低密度・低層型」

←→【・ソフトエネルギーパス】

*「物流システム」:そのための余分なエネルギー消費を避けるために

……→「自立・自給的」

・モノカルチャー、規格大量生産の修正

←→  ・完全リサイクル

*「生産システム」:エントロピー増大を回避するために

……→「農業系社会」

←→【・共生型社会形成】

*「都市スケール」:交通のための余分なエネルギー消費を避けるために

……→「公共交通・徒歩・自転車規模」

←→【・脱クルマ社会】

([]内は対応する既存の諸説)というような一つのエコタウン像が浮かんでくる。

なお、持続性から要求されるこれらの特性が、快適、利便などと両立するかどうかである。否の場合には、“事態の深刻さの認識”と“後世代への配慮度”に応じて、どこかで折り合いをつけるのだが、そのための論理もまた必要になる。

もう一つの将来像に至る選択肢は、技術進歩にかけて、現在の社会経済の発展にまい進してみることである。もし、環境と資源制約を克服しえたとして、快適さと便利さを追求した究極の姿は、SFに見られるような完全に人工的に環境制御された宇宙船の世界、さらには生命維持装置型社会かもしれない。この場合の大きな問題は、生態系と切り離された人類の心理的及び生理(遺伝・進化)的変質に対する危惧であろう。

そのいずれの社会を選ぶかは、“技術への信頼度”と“個人の好み”との組み合わせによって定まってくる。

以上のようなことに関する研究は、当研究所の旨とする(?)”science”にはなじまないとの判断もあるが、外部(及び内部の何割か)には大変関心の高まりが感じられるので、当分私的なサロンの形で雑談会を続けてみたいと思っている。ご関心の向きは自由に参加の上、討論いただけると幸いである。

(ないとう  まさあき、地域環境研究グループ統括研究官)


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