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ホーム > 刊行物 > 国立環境研究所ニュース > 10巻 > 1号 (1991年4月発行) > 環境指標生物としてのユスリカ

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研究ノート
環境指標生物としてのユスリカ
上野  隆平

ユスリカは昆虫の分類学上の1グループの総称であり、現在日本では500種近くが記録され、大部分が水生と考えられる。これらが、生息水域の物理・化学的環境を反映して棲み分けているので、様々な環境要因のきめ細かな指標となり得る。

我々は、有機汚濁・農薬等の河川生態系への影響に関する研究の一環として、いくつかの河川で川底の動物相を調査している。そこで採集したユスリカを例にとると、つくば近辺の乙戸川や小野川といった比較的汚れた川ではセスジユスリカが、奥日光の川や筑波山の渓流のような清澄な川ではPolypedilum属の一種のユスリカが、それぞれ共通して出現する。また環境研近くの稲荷川のように流速が非常に遅い川では、他の河川より、むしろ湖沼との共通種が出現する、といった具合である。

ユスリカを指標として用いる場合、種の同定を正確に行うことが重要であるが、ここで2つの問題がある。1つは、ユスリカの種類の正確な記載と水質等の環境特性のデータ記録が必ずしも同時に行われないか、測定項目が限定されているため、種ごとの生息環境の位置付けに必要な情報が十分に集積していないことである。もう1つは、水生昆虫として採集されるのは幼虫と蛹であるのに、成虫以外の発生段階の分類体系が未整備なことである。現時点で記載されているのは、蛹で成虫の約30%、幼虫では約20%にすぎない。

今後、分類体系が整備されれば、種の同定は容易になっていくであろう。ユスリカ達が様々な環境要因の中のどれに敏感に反応するかを知ることが重要であり、これを解明するために生態学的手法が力を発揮すると思われ、私の研究をこの方面で役立てていきたい。

(うえの  りゅうへい、生物圏環境部生態機構研究室)

表  3種類のユスリカと生息環境に共通する環境要因

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