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2019年4月25日

生態毒性試験(バイオアッセイ)の必要性と役割

コラム3

海産試験株の培養と顕微鏡写真
図3 生態毒性試験の様子と海産試験株
藻類を用いて行う一般的な生態毒性試験(生長阻害試験)の様子(上)、新たに開発した試験株のシアノビウム(NIES-981)の光学顕微鏡写真(下)。

 現在、水質の管理および生態系のリスクアセスメントでは、特定の生物種を用いた生態毒性試験が広く利用されています。水質の化学分析もまた、環境中に存在する既知物質を同定するためには有用な手段であるものの、化学物質や汚染排水が生物に与える影響までは分かりません。また、汚染排水は、通常複数の化学物質を含んでいることから、仮に汚染排水中に含まれる化学物質がすべて明らかになったとしても、その毒性値は、相乗作用や相殺作用などの複合影響により、単独の化学物質の毒性値の総和からは大きく外れることがよくあります。
 

 現在、水生生物では藻類、魚類や甲殻類など様々な生物種が試験生物として用いられています。例えば魚類では、96時間で稚魚の致死影響をみる短期の急性毒性試験から、メダカを使って行う親世代から孫世代までの繁殖影響をみるような数ヵ月にわたる長期の慢性毒性試験まで多岐に渡ります。一方、藻類を用いた生態毒性試験法は、動物のものに比べて、比較的短期間(通常、前培養期間を除くと3日間)で行えることから、現場での迅速な試験も可能となることが期待されています。例えば、国立環境研究所と浜松ホトニクスが共同で開発した藻類の遅延発光強度を指標とする試験法は、コンパクトな装置で実施可能で、数時間から長くても24時間で試験結果がわかります。船上や海洋資源開発プラントのような限られたスペースで、短期間に結果を出すことに対応できる有用な手法、洋上バイオアッセイとして、実用化に向けた改良を進めています。