- 予算区分
- 4MF-2504
- 研究課題コード
- 2527BA004
- 開始/終了年度
- 2025~2027年
- キーワード(日本語)
- 生物多様性,自然共生サイト,音響モニタリング,AI,シチズンサイエンス
- キーワード(英語)
- biodiversity,Nationally Certified Sustainably Managed Natural Sites,Acoustic monitoring,Artificial Intelligence,citizen science
研究概要
昆明・モントリオール生物多様性枠組の採択を受けて保護区外の生物多様性保全のための地域(OECM)の重要性が高まり、国内でも自然共生サイト拡充が求められている。今後は従来の保護地域と新設された OECM 双方において継続的なモニタリングが必要なため、持続的で効率的な観測手法の確立が急務となっている。近年発達しつつある機械観測と AI による定点自動観測はアクセスが困難な地域では特に有力なツールとなりうる。一方、人口が多い地域の OECM では市民参加型モニタリングが有効な手段となりうる。この二つのアプローチは AI による市民の種判別支援や市民による AI 学習用データ整備の観点等から連携することで、お互いに有効性を高められるはずである。また、観測対象となる生物にも、AI による自動種判別に適したものと人が直接調査することに適したものがいるはずである。しかし、市民参加型調査と機械観測が連携するシステムは十分に検討されてこなかった。加えて、気候変動の影響で将来的に生物の生育・生息適地の変化が予想される中、各地での生物動態の変化が分布変化なのか個体群の縮小なのかを迅速に評価するには、一般的に高標高域にある我が国の保護地域と比較的低標高域に拡大されるであろう OECM 間で一貫したデータ型式で観測データが整備されることが望ましい。本研究提案では機械及び市民による音響観測の支援のために、種判別技能訓練ツールと連動した音声データ共有タグ付けツールの開発と、機械観測と市民提供のデジタルデータ共通のメタデータ型式設計を通して、市民が自ら取得したデータのみならず機械観測で得られたデータのタグ付けにも参加できるシステムを構築する。また、本システムを複数の地域の生物多様性観測に適用して、機械と AI による自動観測に適した生物種と市民による調査が適した生物種群について知見を得た上で両アプローチの適正な組み合わせを提案する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
・環境音データを入力・共有するとともに AI 学習用のタグ付け作業を可能とするツールを開発し、音声種判別技能を訓練するための既存のオンラインツールを改良したものと連動させることで、機械観測と市民参加型調査が連携可能な生物多様性音響観測支援システムを構築する
・上記システムに入力される機械観測又は市民による録音で得られた環境音データに関して、共通して適用できるメタデータ(付与情報)のフォーマットを設計する
・標高や人口、アクセスしやすさが異なる複数の地域(保護地域や OECM を含む)において上記システムを適用・検証し、機械観測・AI 種判別モデル適用と市民参加調査の適正な組み合わせを提案する
今年度の研究概要
・機械観測によって得られる音響情報の整理と、それを反映したタグ付けするデータに付与する情報(メタデータ)の仕様案を設計する
・ローカル環境で動くデータ共有・タグ付けツール(音声データ入力及びタグ付け、付加情報を出力するプログラム)を開発する
・「とりトレ」をタグ付けツールと連携するように改良する。
・参画機関の調査対象地域(静岡県、長野県、福島県、茨城県、千葉県を想定)において録音装置を設置し、環境音情報を収集する
・環境音において出現した生物情報を受けて、「とりトレ」改良版において追加訓練対象となる生物種群を選定する
外部との連携
静岡県環境衛生科学研究所、長野県環境保全研究所、東邦大学
備考
本課題は2つのサブテーマからなり、予算コード(プロジェクトコード)は分けられている
AA0009A-254【MF-2504(1)】(サブテーマ1)、AA0009B-25【MF-2504(2)】(サブテーマ2)