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環境化学物質による鯨類の神経毒性評価と生体影響予測モデルによるリスク評価(令和 7年度)
Neurotoxicity of environmental chemicals in cetaceans: Risk evaluation by predictive biological effect modeling

研究課題コード
2528CD005
開始/終了年度
2025~2028年
キーワード(日本語)
iPS,海棲哺乳類,神経毒性,in vitro,リスク評価
キーワード(英語)
iPS,Marine mammals,Neurotoxicity,in vitro,Risk assessment

研究概要

鯨類iPS細胞から誘導した神経細胞および脳スライス培養系を用いて、環境化学物質による神経毒性影響をin vitroで多面的に評価する。さらに、鯨類脳組織中に蓄積する化学物質のフリー溶存濃度を測定し、本研究で得られた毒性試験結果と統合することで、QIVIVE(Quantitative In Vitro to In Vivo Extrapolation)モデルを構築する。これにより、実環境条件下における鯨類個体への神経毒性リスクを科学的・定量的に予測・評価する新たな枠組みを確立する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

【1年目】鯨類iPS細胞の樹立と品質評価を実施するとともに、iPS細胞から神経前駆細胞(NPC)、成熟神経細胞への分化誘導法を確立する。また、死後短時間で採取した鯨類脳組織を用いた脳スライス培養条件の検討を開始する。並行して、POPsやPFASs等のフリー溶存濃度(C_free)評価法を構築する。
【2年目】確立した神経分化系を用いて、代表的な環境化学物質を対象に、NPCおよび成熟神経細胞への曝露試験を実施する。神経分化、軸索形成、細胞毒性、シナプス機能など多面的な指標により、発達および成熟神経細胞に対する毒性影響を評価する。
【3年目】神経細胞における毒性評価を継続するとともに、RNA-seq、プロテオーム、メタボローム解析を通じて神経毒性の作用機序を明らかにする。さらに、脳スライス培養を用いた曝露試験を実施し、in vitro系との比較解析を行う。またQIVIVEモデル構築に向けたパラメータ設定を進める。
【4年目】in vitro毒性データとC_freeを統合し、QIVIVEモデルを構築する。これにより、生体内レベルでの神経毒性リスク評価を実施し、複数の化学物質に対するリスクドライバーの特定とランク付けを行う。

今年度の研究概要

鯨類iPS細胞の樹立および評価、iPS細胞から神経前駆細胞、成熟神経細胞への分化誘導法の確立、脳スライス培養条件の検討を行う。また各化学物質のフリー溶存濃度評価法を構築する。

外部との連携

研究代表者:落合真理(麻布大学)

課題代表者

遠藤 智司

  • 環境リスク・健康領域
    曝露影響計測研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(自然科学)
  • 化学,地学
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