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改良 in vivo 評価系による神経・内分泌毒性評価法の開発(令和 7年度)
Development of a Refined In Vivo Platform for Neuroendocrine Toxicity Assessment Integrating Behavioral and Molecular Endpoints

研究課題コード
2527LA002
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
改良 in vivo アプローチ,神経・内分泌毒性影響評価,分子マーカー
キーワード(英語)
Refined in vivo approach,Neuroendocrine toxicity assessment ,Molecular markers

研究概要

本研究は、行動学的および分子学的指標を統合した改良 in vivo 評価系を構築し、その妥当性と実用性を検証することを目的とする。これは、化学物質等による神経・内分泌毒性影響評価の高度化を目指すものであり、動物倫理・福祉の観点を積極的に取り入れた先進的な評価体系の確立を意図している。従来の in vivo 試験は、動物へのストレス負荷が高く、行動解析の主観性や再現性の乏しさ、ヒト外挿性の不確実性、非効率性といった課題が残されてきたが、本研究ではこれらの課題を克服しうる新たな評価系の確立を目指す。
本研究では、毒性学試験で広く用いられる近交系マウスに加え、遺伝的多様性に富む野生由来ヘテロジニアスストック(WHS)マウスを活用し、よりヒト集団に近い個体差と感受性の評価に体系的にアプローチする。全自動の行動・生理学的評価系と、血液サンプル等の生体試料を用いたゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム解析を組み合わせ、行動特性と関連する分子マーカーを探索する。さらに、外因性ホルモン曝露をモデルとした評価を通じて、化学物質による神経・内分泌機能への影響評価における評価系の有用性と応用性を検討する。
確立された評価系は、ヒト健康リスク評価の精度向上に寄与することを目指し、OECDガイドラインへの評価法提案に繋げる。これにより、国際的な規制動向や3R原則に適合した先進的な毒性評価手法の確立を図り、化学物質規制や国際的な安全性評価の標準化に貢献したい。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

初年度はWHSマウスを主に用いた行動学的評価の実施、およびゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム解析の基礎技術を確立し、行動特性と分子マーカーとの関連解析の基盤を構築する。2年目は、外因性ホルモン投与を用いた化学物質曝露影響評価を実施し、神経・内分泌機能に対する行動変化および分子マーカーの変動を解析する。特に、遺伝的背景に基づく個体差と環境要因の相互作用(G×E)を精査し、感受性層の特定に向けた知見を深化させる。3年目は、行動データと分子データの統合解析を行い、環境×遺伝要因による神経・内分泌毒性の新たな評価法としての妥当性を検証する。最終的には、OECDガイドラインへの新規・追加評価法提案を通じて、国際標準化と実用化に向けた展開を目指す。

今年度の研究概要

今年度は、主にWHSマウスを用いた行動学的評価を実施し、行動特性に基づく個体選抜と血液サンプルの収集を行う。また、血液由来のゲノム・エピゲノム・トランスクリプトーム解析技術の基礎的手法を確立し、行動特性と分子マーカーの関連解析に向けた実験基盤を整備する。併せて、外因性ホルモン投与による化学物質曝露影響評価のパイロット実験に着手する。

外部との連携

フェノバンス合同会社、浜松医科大学、国立遺伝研究所、ノースイースタン大学

関連する研究課題

課題代表者

ベナー 聖子

  • 環境リスク・健康領域
    統合化健康リスク研究室
  • 主任研究員
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