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Eco-DRR施設として再生された水辺ハビタットの多機能性と不確実性の評価(令和 7年度)
Assessment of ecological multifunctionality and uncertainty of restored coastal habitats as a ECO-DRR facility

予算区分
基盤(C)
研究課題コード
2525CD001
開始/終了年度
2025~2028年
キーワード(日本語)
自然再生,三方五湖,ECO-DRR,大型底生動物,汽水域
キーワード(英語)
Nature restoration,Mikata-go-ko,Ecologically-based Disaster Risk Reduction,Macrozoobenthos,Blackish area

研究概要

三方五湖(福井県)ではEco-DRR(生態系を活用した防災・減災、Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)施設として自然のハビタットである砂浜やヨシ原等に注目し、これらを自然の護岸として再生する取組みが、自然再生協議会の事業として組織的・計画的に進められている。本課題では、再生された水辺ハビタットによる生態系保全(Eco)効果と減災(DRR)効果、および、これらの効果の不確実性を定量評価し、現在進行中の“自然護岸再生の手引き”の改訂作業にフィードバックさせることを目的とする。Eco-DRR施設には水辺生態系が生み出す多機能性が期待されており、その中には、環境影響の緩和効果(例:貧酸素化の抑制効果・波浪の軽減効果)など、気候変動へのレジリエンスを高める機能も含まれる。したがって、本課題は生態系を活かした気候変動適応にも資することが期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

まず、再生ハビタットによる“環境の調節機能”を評価する。水棲生物の分布に強く影響する水質(塩分・溶存酸素量)・底質(粒度組成)・地形(水深)等を、再生浜と隣接する非再生区(対照区)の間で比較する。同時に再生ハビタットによる“生物多様性の創出機能”の評価を、マクロベントス群集と抽水植生を対象に行う。それぞれ定量採集(ベントス)と被覆度調査(抽水植生)の結果に基づき種の豊度、現存量、相対優占度等を算出し、再生浜と対照区の間で比較する。次に、再生ハビタットで生じる生態系機能を評価する。“稚仔魚のゆりかご機能”は定量採集した稚仔魚の種組成と現存量を、“水質浄化機能”は現地に設置したチャンバー内における有機炭素量等の減少率を、“教育資源機能”については環境学習の実施数を再生浜と対照区の間で比較する。再生されたハビタットによる“波浪の減衰機能”の評価では簡易波圧計を用い、再生浜の湖側の端と岸辺における一定期間あたりの最大波圧を測定し、岸辺における波圧の減少率を波浪の減衰効果として定量化し、再生浜と対照区の間で比較する。“地盤の安定化機能”の評価では、ヨシ帯における堆積促進作用を仮定しているため、地盤高の測量結果を再生浜上のヨシ帯の内外で比較する。各々の再生ハビタットの属性(塩分・粒度組成・経過年数・面積等)を定量化し、再生ハビタットが生み出した諸機能の値との関係を定量化する。再生ハビタットの経過年数は、自然再生協議会事務局が管理する情報を参照し、面積はドローンを用いて計測する。

今年度の研究概要

再生ハビタットによる“環境の調節機能”を評価する。水棲生物の分布に強く影響する水質(塩分・溶存酸素量)・底質(粒度組成)・地形(水深)等を、再生浜と隣接する非再生区(対照区)の間で比較する。同時に再生ハビタットによる“生物多様性の創出機能”の評価を、マクロベントス群集と抽水植生を対象に行う。それぞれ定量採集(ベントス)と被覆度調査(抽水植生)の結果に基づき種の豊度、現存量、相対優占度等を算出し、再生浜と対照区の間で比較する。

外部との連携

宮本康(福井県;研究代表者)、多留聖典(東邦大)、青木美鈴(WIJ)、伊藤萌(東大)

課題代表者

金谷 弦

  • 地域環境保全領域
    海域環境研究室
  • 上級主幹研究員
  • 博士 (理学)
  • 生物学
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