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多様化する化学物質リスクへの対応と持続的な環境監視に資するダイオキシン類分析法の開発(令和 7年度)
Development of analytical methods for dioxins to address risks from diverse chemicals and contribute to sustainable environmental monitoring

予算区分
.
研究課題コード
2527BA001
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
ダイオキシン,環境監視,公定法
キーワード(英語)
dioxins,environmental monitoring,official method

研究概要

 今後の持続的な環境監視に資するため、効率化・省力化を実現するダイオキシン類の測定手法の改良及び開発を行い、複数試験所間比較などにより、分析法の標準化に必要な情報を整理しつつ、同時にダイオキシン類以外の複数の化学物質情報の取得と解析が可能な方法、あるいは同時測定可能な物質について提案する。最終的には、環境省マニュアル等の公定法の改定のための素案を準備することを目標とする。
 調達困難になりつつある二重収束形質量分析計(HRMS・DFMS)に代わる測定機器として、タンデム型四重極質量分析計(MS/MS・QqQ)、飛行時間型質量分析計(ToFMS)、大気圧イオン化ガスクロマトグラフ(APGC)などの最新機器の評価を行い、その適用範囲(適正)について整理しながら、各機器の特徴を最大限に生かした分析法を開発する。開発する方法では、特にTCDD毒性当量(TEQ)値(TCDD換算対象異性体の定量値)の精度を犠牲にすることなく、分析に要するコスト・リソース・時間を削減しながら、同時に取得する化学物質情報の最大化を図る。また、供給不安定なヘリウムに代わるキャリアガスとして、水素や窒素の利用と有効性の検証も行う。
 開発した方法について、環境基準・排出基準の監視媒体毎に現行法との比較および試験所間比較を実施することで、感度、精度、再現性等、手法の標準化に必要な性能評価を行う。
 検討結果を総合・整理したうえで、媒体別になっているダイオキシン測定マニュアルを統合し、化学物質リスクの多様化にも対応する持続的な環境監視に資するマニュアルの素案を作成する。
 この素案が公定法に反映されれば、ダイオキシン類の監視コストの削減とその他の物質の同時スクリーニングが可能になり、環境行政の効率化に資するばかりでなく、地方環境研修所や民間分析企業への新技術導入(投資)の足掛かりとなり、研究や調査範囲の拡大と活性化にも貢献することが期待できる。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

?今後の持続的な環境監視に資するため、効率化・省力化を実現するダイオキシン類の測定手法の改良及び開発を行う。
?同時にダイオキシン類以外の複数の化学物質情報の取得と解析が可能な方法、あるいは同時測定可能な物質について提案する。
?複数試験所間比較などにより、分析法の標準化に必要な情報を整理し、環境省マニュアル等の公定法の改定のための素案を準備する。
の3つについて、最初の2年をかけて、新技術を取り入れたダイオキシン類の分析法の開発及びその共通測定による測定可能物質の調査を実施する。開発した方法から、試験所間比較を2年ほどかけ実施し、最終年度には、用途と対象物質を区分けしながら、分析法マニュアルの素案を提案する。

今年度の研究概要

 GC-ToFMSについては、高速性を活かした高流速測定により、ピーク先鋭化による感度向上と時短を図る。異性体分離との兼ね合いで最適条件を検討する。この時、内径0.18mmのキャピラリーカラムによるガス消費量削減効果も検討する。メーカー(日本電子(株))の協力のもと、感度向上や定量ソフトウェアの改良を進める。
 QqQ、orbitrapMS、APGCについては、民間企業や地環研の協力のもと、夾雑物の影響排除とTEF対象物質の高精度定量を指標として、測定条件の最適化を図る。
 GC×GC-ToFMSについては、カラムの組合せやモジュレーターや昇温などの測定条件の最適化を図り、一回測定でTEF対象物質の他の異性体からの完全分離を試みる。
 これらと並行して、研修所や民間企業や地環研と協働し、代替ガス使用可能な装置において、ダイオキシン類の定量性能(感度、再現性、ダイナミックレンジ、夾雑物の影響有無など)を評価する。
 採取作業の負担大きい排ガスはPUFを使った改変法、水質についてはPUFによる現場抽出など、効率的で簡易な採取方法を検討する。採水量は各測定法の目標定量下限との兼ね合いで決定可能にする。

外部との連携

埼玉県環境科学国際センター、福岡県保健環境研究所、いであ株式会社、環境省環境研修所、ほか

関連する研究課題
  • : 環境リスク・健康分野(イ政策対応研究)
  • : 基盤計測研究(イ政策対応研究)
  • : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)

課題代表者

橋本 俊次

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 室長(研究)
  • 学術博士
  • 農学,化学
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担当者