- 研究課題コード
- 2325CD004
- 開始/終了年度
- 2023~2025年
- キーワード(日本語)
- 二ホンミツバチ,腸内細菌,保全,プレバイオティクス
- キーワード(英語)
- Japanese honey bee,intestinal bacteria,conservation,prebiotics
研究概要
ミツバチは花粉媒介者として生態系の多様性の維持に重要であるが,近年,その個体数は減少傾向にある.ミツバチの保全には,低温かつ餌資源の乏しい過酷な環境である冬期を乗り越え,次世代へ個体数を維持することが重要となる.本研究では,ニホンミツバチの越冬に有益な腸内細菌とその機能,および増殖に必要な栄養素を明らかにすることで,どの腸内細菌が,どのように越冬に有益であるかの解明を目指す.本研究の遂行により,腸内細菌を介したニホンミツバチの保全方策の確立に向け役立つ知見を得ることが期待される.
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究は,ニホンミツバチ(Apis cerana japonica)の越冬に有益な腸内細菌とその機能,および増殖に必要な栄養素を明らかにすることを目的とする.そのために,まずは越冬期に増加する腸内細菌を特定したうえで,分離培養法から菌株を取得する.次に,分離した菌株のニホンミツバチへの投与実験から,菌株の短鎖脂肪酸産生能および個体の免疫賦活化能を明らかにする.そして,菌株の生化学性状解析とゲノム解析から,増殖に必要な栄養素を特定し,ニホンミツバチ腸内での増殖に有効な蜜源植物を予測する.
今年度の研究概要
越冬期に増加していたLactobacillus panisapiumとBifidobacterium属細菌に注目し,培養条件を変え,異なる種の分離を目指す.また,現時点でニホンミツバチへの投与実験に用いているLp株の投与により,抗菌ペプチド以外の免疫関連遺伝子の発現量を調べ,どのような機構で抗菌ペプチド産生が上方制御されているのかを見出す.また,Lp非投与群,投与群間での腸内短鎖脂肪酸量(short-chain fatty acids:SCFAs)を比較する.
アリがどの程度ミツバチ病原体媒介に寄与するかを明らかにするため,ミツバチの巣箱に侵入していない,および活発な侵入の見られる様々なアリ種からミツバチ病原体の検出を試みる.特に病原ウイルスに関しては,アリ体内での複製の有無を明らかにする.
課題代表者
鈴木 亮彦
- 生物多様性領域
生態リスク評価・対策研究室 - 特別研究員