- 研究課題コード
- 2527CD001
- 開始/終了年度
- 2025~2027年
- キーワード(日本語)
- 気候変動,気候モデル,雲フィードバック
- キーワード(英語)
- climate variability,climate model,cloud feedback
研究概要
IPCC AR7に向けて開発された気候モデルMIROC7では、MIROC6に比べて、モデルによる雲の再現性能が大きく改善した。また、MIROC7では、雲が温暖化を加速する効果(雲フィードバック)が大きくなった。本研究では、MIROC7の雲フィードバックが大きくなった理由を調査する。MIROC6に特定の改良のみを反映させた実験や、MIROC7から特定の改良のみを戻した中間的な設定の実験も行うことで、個々の改良の効果を切り分けて定量的に評価する。同時に、AR6で利用された世界の気候モデルによる気候変動予測実験データを併せて解析し、それらに基づく予測不確実性の理解と低減に繋げる。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
MIROC7の開発では、MIROC6から次の改良が行われた: [改良1] 時間分解能の制約などから簡素に扱われていた降水粒子をより精緻に計算 (Michibata et al. 2019)。[改良2] 鉛直分解能の制約などから不十分だった大気逆転層の表現を改良(Kawai et al. 2019)。逆転層は雲形成を特徴付ける大気気温の鉛直構造である。[改良3] 放射スキームにおける水蒸気の放射吸収・散乱パラメータをより精緻なものに更新。このパラメータは水蒸気による温室効果などに強く影響する。
MIROC6とMIROC7による現在気候再現実験と気候変動予測実験を行い、実験結果の違いが、前述の[改良1]〜[改良3]のいずれにどの程度起因するかを調べる。MIROC6にそれぞれの改良を行った実験、MIROC7からそれぞれの改良を戻した実験を行う。[改良1]〜[改良3]は独立に施せるものであるが、それらの実験結果への影響は独立ではない。[改良1]〜[改良3]を組み合わせた実験を行い、それらの相互関係に留意して、それぞれの影響を切り分ける。MIROC6からMIROC7への改良と予測結果の関係が明らかになれば、改良の妥当性を評価することで、予測の信頼性を評価する。
今年度の研究概要
今年度は、MIROC6からMIROC7への開発で行われた改良を個別に施した中間的な実験設定で気候変動実験を行う。
外部との連携
MIROC7開発では、九州大学の道端拓朗准教授による雲物理プロセスの改良が行われた。道端准教授には、本課題の雲物理プロセスの改良の効果を調べる部分に協力してもらう。