- 予算区分
- 挑戦的研究(開拓)
- 研究課題コード
- 2308CD001
- 開始/終了年度
- 2023~2028年
- キーワード(日本語)
- エアロゾルー雲相互作用,雲チャンバー,山岳観測,氷晶核
- キーワード(英語)
- aerosol-cloud interaction,cloud chamber,mountain observation,ice nucleating particle
研究概要
エアロゾルと雲は大気中で相互に作用しながら、気象と環境に様々な変化をもたらす一方で、一連の素過程は非線形で多くの未解明パラメータを含むため、エアロゾルと雲の相互作用を介した気象・環境影響に関する理解度は依然として低い。とりわけ「氷晶核活性」と「雲内化学反応」は未解明な点が多い。「氷晶核活性」と「雲内化学反応」は上空で起こる現象であるにも関わらず、上空ではエアロゾルや雲のサンプリングのみで、現象研究は「雲生成チャンバー」や「光化学チャンバー」など地上のラボで実施される。上空でのサンプリングと地上の室内実験の乖離を埋めるのは容易ではない。そこで本研究では、エアロゾルが雲に供給される入り口となる雲底の代表的高度(1000 m)に山頂をもつ孤立峰に設置するための小型の雲・エアロゾルの物理・化学実験装置(可搬型雲チャンバー)を設計・開発し、実際に雲粒を計測・分析するだけではなく、実際の雲粒を活用して上空で変質実験を実施することにより、「雲粒はいつどのようにして凍るのか」「雲水・氷粒子の化学的役割とは?」に問い答えることを目的としている。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
最初の二年程度で、雲粒をチャンバー(風洞)内に引き込み、レーザーシートなどの物理プローブで粒径分布や形状を測定したり、テフロン線に雲粒をトラップさせて捕集することで化学分析を行う機能を持つ可搬型雲チャンバーの開発を行い、雲生成チャンバーや反応実験システムと比較して本装置の精度を検証する。開発が順調に進めば、次の二年程度で、筑波山頂観測所に装置を設置して、連続測定を実施する。さらに次の二年程度で、筑波山とは性質の異なる他の山岳サイトに移設して、観測を実施する。
今年度の研究概要
引き続き、既存の霧サンプラーの装置を参考に、可搬式雲チャンバーの化学分析部分の開発に取り組む。
外部との連携
気象庁気象研究所・梶野瑞王主任研究官(課題代表者)、岩田歩研究官、北九州市立大学・藍川昌秀教授との共同研究である。
課題代表者
猪俣 敏
- 地球システム領域
地球大気化学研究室 - 主席研究員
- 博士(理学)
- 理学 ,化学