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オルガネラクラスターの喚起により卵子妊孕性に影響を与える環境化学物質の解明(令和 6年度)
Elucidation of environmental chemicals that affect the fertility of oocytes due to organelle clustering

研究課題コード
2224CD103
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
卵子,環境化学物質,ミトコンドリア
キーワード(英語)
oocyte,environmental chemicals,mitochondria

研究概要

採卵数に余裕があれば、しばしばオルガネラクラスター(細胞小器官が群がって大きな塊の様に目視される構造体)が生じていない卵子に妊孕
性が期待される。近年マウス卵子を用いた研究から、ミトコンドリア融合-分裂バランスの不調がオルガネラクラスターの発生に関与すること
が明らかになってきた。ミトコンドリア融合-分裂の制御因子は、胎児期に卵子が形成されてから成人後の排卵に至るまで環境中の化学物質か
ら撹乱を受け続ける。しかしながら、どのような環境化学物質が影響を及ぼすのかこれまで全くわかっていない。本研究では、ミトコンドリア
分裂因子のタンパク表面において、ミトコンドリア分裂阻害活性を示す候補物質を探索する。培養卵子とマウス個体を用いた検証を経て、ヒト
卵子の低妊孕性指標であるオルガネラクラスターを喚起する環境化学物質として特定する。使用量・排出量などの削減により、卵子の健康につ
ながる事が期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

ミトコンドリアの融合-分裂バランスの撹乱を介してオルガネラクラスター(ヒト卵子の低妊孕性指標)を喚起する環境化学物質を同定するため、以下のように進める。(1) Dynamin related protein 1(Drp1)との親和性を基にした候補物質の選抜:ダイナミン様GTP加水分解酵素であるDrp1はミトコンドリア分裂に必須の因子である。Drp1タンパク質の表面において、環境化学物質との相互作用で活性が大きく撹乱されうるポケットのような場所を定める。選定したポケットにフィットする環境化学物質をスクリーニングし、安定な順に順位付けを行う。(2) 卵子培養系を用いた候補物質の妥当性の検証: 裸化した状態で採取できオルガネラクラスターの視認に適していることに加え、蛍光観察によってオルガネラ形態を詳細に把握できるマウス卵子を用いる。候補物質を曝露させ、ミトコンドリア分裂阻害活性を起点とした候補物質のオルガネラクラスター喚起性を評価する。濃度検討を踏まえ候補物質を絞りこむ。(3) マウス個体を用いた候補物質の妥当性の検証:マウスへ腹腔内投与を行う。卵巣から卵子を採取し卵子培養系で用いた染色法を用いて候補物質のオルガネラクラスター喚起性を評価する。

今年度の研究概要

ミトコンドリア形態を変化させる候補化合物について適宜培養細胞株を活用しつつマウス培養卵子を用いた妥当性の検証を経て、一部の物質についてはマウス個体への投与による評価を行う。

備考

2224CD010

関連する研究課題
  • : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)

課題代表者

宇田川 理

  • 環境リスク・健康領域
    統合化健康リスク研究室
  • 主任研究員
  • 薬学博士
  • 生物学
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