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休廃止鉱山周辺の河川における重金属濃度の時空間的変動及び生態系への履歴効果の評価(令和 6年度)
Spatiotemporal variation of heavy metal concentrations in rivers surrounding abandoned mines and assessment of legacy effects on ecosystems

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
2424CD002
開始/終了年度
2024~2024年
キーワード(日本語)
重金属,履歴効果,休廃止鉱山
キーワード(英語)
heavy metals,hysteresis,abandoned mines

研究概要

国内外に多く存在する休廃止鉱山では、坑廃水処理や鉱害防止工事などが行われ、河川生態系への重金属の影響を軽減し、回復を促進する取り組みが進められている。しかし、これらの施策の生態系の回復効果について、特に数十年にわたる長期的な評価はほとんど行われていない。鉱山管理の本来の目的である生態系の回復よりも、重金属濃度の低減が中心になっている現状がある。本研究では、足尾銅山を例にとり、閉山後から実施されている坑廃水処理の効果を評価し、河川水質の時空間的な変動を推定するとともに、現在の足尾の河川生態系における重金属汚染の歴史的な影響を明らかする。本研究により、休廃止鉱山の坑廃水処理の実効性を評価し、科学的根拠に基づいた管理施策を提案することが可能となる。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

(i) 河川水質及び底生動物の群集構造などの調査:足尾銅山周辺において、3か月に1回、河川調査(河川水の採取、底生動物の採集など)を実施する。河川水は、生物化学的酸素要求量(BOD)、溶存有機炭素濃度(DOC)及び重金属類の溶存態濃度を分析する。調査地点は、重金属汚染や集落の生活排水に由来する有機汚濁(交絡因子)の程度が様々になるよう、渡良瀬川とその支流上に10地点設定する。(ii) 日単位での河川水質の変動に関する短期集中調査: (i)と同じ調査地点において、連続する20-30日間にわたって、河川水質の連続調査を実施する。調査日程は様々な強度の降雨イベントなどが含まれるように設定し、調査日の環境条件の影響によるごく短時間の河川水質の変動の大きさを推定する。(iii) 水質の時空間的変動に影響するパラメータの推定 (i)で得られたデータにベイズ構造時系列モデルを適用することで、pH、BOD、DOC及び重金属類の濃度の時間変動を、長期トレンド、周期変動成分、環境要因の影響などに分解する。この際、(ii)で得られた河川水質に対する気象の影響の大きさに関する推定値を、モデルの事前分布として活用する。

今年度の研究概要

足尾銅山周辺で、3か月ごとに河川調査を実施する。この調査では、河川水を採取し、底生動物を収集する予定である。生物化学的酸素要求量(BOD)、溶存有機炭素濃度(DOC)、および溶存している重金属の濃度を分析する。調査地点として、渡良瀬川とその支流上に10箇所設定され、重金属汚染や集落の生活排水による有機汚染(交絡因子)の程度が異なるようにする。
また、連続的な30日間にわたる河川水質の連続調査を、日単位での河川水質の変動に関する短期集中調査と同じ調査地点で実施する。調査期間中には、様々な降雨イベントなどの影響を含む環境条件下での河川水質の変動を評価し、ごく短時間のスケールでの変動の大きさを推定する。

外部との連携

東洋大学の竹下和貴准教授が研究代表者である。

課題代表者

横溝 裕行

  • 環境リスク・健康領域
    リスク管理戦略研究室
  • 主幹研究員
  • 博士 (理学)
  • 生物学
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