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複数プライマーを用いた環境DNA底生動物調査手法の開発(令和 6年度)
Developing an aquatic biomonitoring method for benthic fauna using environmental DNA with multiple primer sets

研究課題コード
2224AH004
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
環境DNA,メタバーコーディング,大型無脊椎動物,底生動物
キーワード(英語)
environmental DNA,metabarcoding,macroinvertebrate,benthos

研究概要

大型無脊椎動物をはじめとした河川等の底質に生息する生物(以下「底生動物」)は水質等の環境の変化に鋭敏に反応することから、古くから水質評価を始めとした水環境の健全度評価に用いられてきた。生物を用いた水環境の評価は長期的な水質を反映する等、化学的な水質評価に比べて優位な点がある一方で、手法としては通常捕獲を主体としており、調査に必要な人的資源と分類学に関する知識がネックとなり、全国において広く実施されている状況には至っていない。このような中、近年新たな生物調査手法として環境中に放出された生物のDNAから生物の生息を把握する手法、いわゆる「環境DNA調査」が注目を集めている。従来の捕獲調査に比べて効率的な調査が可能なことから魚類等では実用化が始まっているものの、底生動物についてはプライマーやDNAデータベースの不足等により、実用化は進んでいない。そこで本研究では底生動物の捕獲調査時に環境DNA調査を実施し、複数プライマーを利用することにより、環境DNAによる底生動物調査手法を開発するとともに捕獲した底生動物のDNAをシーケンスすることにより、底生動物DNAデータベースの充実を図ることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

複数のプライマー等の利用とDNAデータベースの充実を図ることにより、検出精度の高い環境DNA底生動物調査手法を開発する。手法開発にあたっては様々な水域における底生動物生息情報と同時に調査した環境DNA調査の結果が必要とされる。そのため、本研究では各地方環境研究所と共同で様々な水域での調査を実施し、神奈川県環境科学センターで環境DNAの分析、結果の解析を国立環境研究所がそれぞれ分担することにより全国多地点での環境DNA調査を実現する。

今年度の研究概要

環境DNAによる底生動物の適切な調査時期を把握するために前年度に実施した季節調査のサンプル分析・解析を進めるとともに、プライマーとのミスマッチの多い分類群に対応した改良プライマーの性能を検証する。また、DNA配列データベース構築のために、引き続き各地で捕獲した生体サンプルの分析を進める。また、環境DNAメタバーコーディング技術の習得を目的としたハンズオン形式の研修会を実施する。

外部との連携

研究代表者:長谷部勇太(神奈川県環境科学センター)
共同研究機関:栃木県保健環境センター、群馬県衛生環境研究所、神奈川県環境科学センター、静岡県環境衛生科学研究所、川崎市環境総合研究所、大阪府立環境農林水産総合研究所、和歌山県環境衛生研究センター、名古屋市環境科学調査センター、神戸市健康科学研究所、広島県立総合技術研究所保健環境センター、高知県衛生環境研究所、福岡県保健環境研究所、鹿児島県環境保健センター

課題代表者

深谷 肇一

  • 生物多様性領域
    生物多様性評価・予測研究室
  • 主任研究員
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担当者