- 研究課題コード
- 2325MA001
- 開始/終了年度
- 2023~2025年
- キーワード(日本語)
- 琵琶湖
- キーワード(英語)
- 湖底環境
研究概要
近年の琵琶湖は、下水道整備や事業者の排出削減の取組の進展などにより、琵琶湖への流入負荷量が低減され、湖内や流入河川の水質には改善傾向が見られる。その一方で、在来魚介類減少等の生態系や気候変動に関連する新たな課題が生じている。琵琶湖北湖では流入負荷削減による貧栄養化が引き金と見られる大型緑藻の繁茂といった物質循環の変化に起因する生態系変化が顕在化している。さらに、全層循環が2018、2019年度と2年連続で確認されず、それに端を発した夏季の湖底の貧酸素化等の気候変動影響と考えられる環境問題も起こっている。これらの諸課題に対応し、琵琶湖の環境を保全・管理・再生していくためには、琵琶湖の環境の支配要因である、「水環境」、「湖底環境」、双方の現状を詳細に把握する必要がある。そのため、溶存有機物(DOM)の分子サイズや底泥酸素消費量(SOD)等についての新規性の高い環境分析手法を琵琶湖に適用し、以下の調査研究に取り組む。得られる知見を用いて、琵琶湖の水環境と底層環境を適切に評価し、それらの保全・再生に資することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:政策研究
全体計画
(1)水環境評価に関する調査研究
琵琶湖における物質循環を解明するためにDOMの生物利用性と動態についての調査•研究を実施する。DOMについては生物利用性と動態に影響を与える因子を明らかにすることに焦点を当てる。得られる結果を元に、水環境の健全性を評価することを最終目的とする。
(2)湖底環境評価に関する調査研究
水質や生態系に多大な影響を及ぼす湖底環境についての調査研究を行う。全層循環停止メカニズムの推定や底層溶存酸素量の変動因子の把握を行う。得られた結果から、琵琶湖の湖底環境を評価するための手法を構築し、改善対策の立案に繋がる成果を結実することを最終目的とする。
今年度の研究概要
(1)水環境評価に関する調査研究
DOMの分子サイズ測定装置によって、湖水DOMの生物利用性を調査すると共にその影響因子や生態系との関係解明を目指した研究を実施する。琵琶湖でしばしば問題となる臭気物質を生成するアオコに関する調査を実施し水質や底質との関連についての評価を行う。
(2)底泥環境の評価と底泥溶出に関する調査研究
・琵琶湖北湖の全層循環シミュレーション解析
全層循環未達成のメカニズムを数値シミュレーションを用いて解析すると共に、数値シミュレーションに有用な環境データについて検証を行う。琵琶湖におけるSODの調査およびその変動要因を調査し、SODが底層溶存酸素の変動に与える影響を推定する。琵琶湖において情報が不足しているリンの形態を中心にその動態や生物間相互作用についての調査•研究を実施する。
外部との連携
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター
- 関連する研究課題
- 26425 : PJ1_地域協働による持続可能社会実装研究
- : 資源循環分野(イ政策対応研究)
- : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)