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落葉広葉樹林における気候変動影響シグナルの検出(令和 6年度)
Detection of signals of climate change in deciduous broadleaf forests in Japan

研究課題コード
2324AN001
開始/終了年度
2023~2024年
キーワード(日本語)
落葉広葉樹,常緑広葉樹,ドローン,重要生物多様性変数
キーワード(英語)
Deciduous broadleaf tree,Evergreen broadleaf tree,Drone,Essential Biodiversity Variables

研究概要

本研究は、陸域生態系の中でも気候変動影響が顕在化しつつある落葉広葉樹林を対象として、 (1)落葉広葉樹から常緑樹のへの置き換わり、(2)落葉樹の展葉の早期化と落葉の晩期化、また(3)その関係性について、地上観測、航空観測、衛星観測のマルチスケール・データと群落の放射伝達モデルにより検証する。最終的には、落葉広葉樹林における森林植生タイプの変化及びフェノロジーの変化を気候変動影響の早期“シグナル”の指標として提案する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

常緑樹小径木の増加の検証においては、日本における長期観測地点の中の落葉広葉樹林を対象とし、地上観測、ドローン・航空機観測、衛星観測などマルチスケールな手法・データを組み合わせた検証を試みる。まず、全国長期観測データを用いて、常緑樹の小径木個体数の変化量の解析を行い、地上観測データでの検証を行う。ドローン・航空機観測データを用いて、過去および現在の落葉期のドローン画像の直接比較から、林床部常緑樹の変化量を抽出する手法を検討するとともに、落葉期にドローンによる空撮を行う。次に、放射伝達モデルを構築し、モデル推定結果と観測データに基づいて常緑樹侵入割合推定する。また、衛星による展葉・落葉フェノロジーの観測に関する手法のレビューを行い、本研究での落葉樹の展葉・落葉フェノロジーの検出に最適な手法を確立する。

今年度の研究概要

(1) 落葉期の空撮写真からの常緑樹の抽出による検証、衛星データでの検証
これまでの結果から、常緑樹の小径木個体数の増加がみられた地域についてさらに解析を進める。また北茨城コアサイトで得られたデータ解析を進めて、林床植生種の分離方法について検討する。鉛直一次元の植物群落放射伝達モデル(SAILモデル)を改良して、林内の上層と下層を分けて林床に常緑樹が侵入した条件を再現し、モデル推定結果と観測データに基づく植生指数等を用いた常緑樹侵入割合推定手法を検討する。

(2) 衛星データでの検証
昨年度に行ったフェノロジーの衛星データによる4点での解析を面的に拡大して、環境条件(気温・標高など)とフェノロジーの変化との関係についての解析を進める。また、(1)で得られる結果を衛星データに当てはめて解析を試みる。

(3) (1) (2)のデータによる仮説の検証
林床部における小径木常緑樹の増加、落葉樹の展葉の早期化・落葉の晩期化の関係性について、仮説「落葉樹高木の着葉期間が長期化するほど小径木常緑樹の増加率が高い」について検討を行う。

(4) 国際学会発表、SYKEとのEBVsを軸とした観測の枠組みに関するレビュー論文を進める。

外部との連携

Dr. Petteri Vihervaara, Dr. Martin Forsius, Dr. Kristin Bötcher (Suomen ympäristökeskus、SYKE)

課題代表者

竹内 やよい

  • 生物多様性領域
    生物多様性評価・予測研究室
  • 主任研究員
  • 理学博士
  • 生物学,林学
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担当者