- 研究課題コード
- 2325CD013
- 開始/終了年度
- 2023~2025年
- キーワード(日本語)
- メタン,同位体,フーリエ変換赤外分光計
- キーワード(英語)
- methane,isotopologue,FTIR
研究概要
メタンは温室効果ガスであるとともに大気化学的にも重要な気体であるが、年々の増加率の変動が大きくその要因に不明な部分が多くある。発生源としては人為起源が多いが、メタン生成菌を介した発生の比率が高いため、気温などの年々変動の影響を受ける。それぞれの発生源の寄与率を推定する上で同位体比の変動が重要な情報源となる。本研究では、フーリエ変換型赤外分光計(FTIR)を用いた地上分光観測のスペクトルからメタン同位体を導出する手法を開発し、これをつくば・陸別・南極昭和基地の観測データに適用してその時空間変動からメタン発生源の分布や経年変化を推定する手法を確立することをめざす。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
まずつくばのFTIR観測データを用いて13CH4、12CH3Dを導出するための解析波長決定や解析パラメータの最適化を行う。両成分とも3ミクロン付近のほか8ミクロン付近にも解析に使えそうな吸収線が複数あることは既に調べてある。13CH4については8ミクロン付近のスペクトルにはっきりした吸収が見られるため試しに解析してみたところ、13CH4についてはほぼフィッティングできていたが一部他の成分(干渉成分)による吸収がうまくフィッティングできていなかった。このようなテストを他の波長領域についても進め、最適な波長領域の組み合わせや吸収の重なっている干渉成分の影響を最小化する手法等を検討する。
解析手法が確立されたら、つくば・陸別・昭和でのメタン同位体比の経年変化を解析する。既に解析している12CH4では2000年代前半の停滞状態と2007年頃からの再増加が明瞭に見られるが、これと13CH4、12CH3Dの結果から求めた同位体比(δ13C、δD)の経年変化、3次元化学輸送モデルによる発生源推定をくみあわせ、発生源の寄与の変動を推定する。また、この際可能であれば高度による違いも議論する。12CH4の解析では3層程度の高度情報が得られているが、13CH4、12CH3Dについても同様に2-3層程度の高度分解ができれば、対流圏成分と成層圏成分を分離した議論も可能になり、発生源だけでなくメタン消失の化学反応の寄与などについても議論ができる可能性がある。
今年度の研究概要
メタン同位体13CH4、12CH3Dの導出手法の検討を継続する。得られた結果はサンプリング等他の観測による同位体比と比較して検証を行う。研究分担者による、また海外の研究者との打合せにおいて、解析状況の確認と解析手法の検討を行う。並行して、つくば・陸別のFTIR観測を行う。
外部との連携
研究代表者:東北大学・環境科学研究科村田功准教授、研究分担者:名古屋大学長濱智生准教授
- 関連する研究課題
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