ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

過去30年間で成層圏の大気循環は変化したか?:ハロカーボンの新規測定にもとづく推定(令和 6年度)
Have the stratospheric circulation changed for the last 30 years? —Estimation from new halocarbon measurements—

研究課題コード
2323CD003
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
成層圏,空気年齢,ハロカーボン
キーワード(英語)
stratosphere,age of air,halocarbon

研究概要

過去30年間に採取・保存されている成層圏空気のアーカイブ試料のハロカーボン分析を実施する。そのため、個別の試料に合わせて分析システムの最適化や性能評価を行う。その後、アーカイブ試料の分析を進め、数十成分のハロカーボン類について、成層圏での濃度の高度分布と過去30年間の時間変化を明らかにする。得られた測定データのうち、成層圏の大気循環の指標となる「空気年齢」の推定に有用な大気成分を検討し、複数の大気成分にもとづいて空気年齢の時間変化を推定する。既存の推定値とも比較し、個々の大気成分について空気年齢トレーサーとしての有用性を評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究では以下を計画している。(1)これまでに開発してきたハロカーボン類の濃度測定システムを成層圏のアーカイブ試料の分析に向けて最適化する。過去のアーカイブ試料の試料残量(圧力)や保存容器はそれぞれに異なり、分析対象の試料に合わせて慎重な試料導入を行う必要があるため、対象のアーカイブ試料に合わせた分析システムの最適化と性能評価を行う。(2)国内での大気球実験によって過去30年間に採取された成層圏空気のアーカイブ試料を10セット程度分析し、数十成分のハロカーボン類について、成層圏での濃度の高度分布と時間変化を明らかにする。研究期間中には、1988年から2015年までに採取されたアーカイブ試料から適切に選んで分析する。それぞれが成層圏の高度30 km程度までをカバーする試料空気のセットであり、これらの高度域でのハロカーボン類の濃度の過去30年間の時間変化を明らかにする。(3)ハロカーボン類の濃度データから空気年齢の推定に有用な大気成分を選別し、複数の成分から空気年齢の時間変化を推定し、その結果得られる成層圏の空気年齢の時間変化について考察を行う。既に得られているCO2年齢やSF6年齢とも相互に比較し、個々の大気成分について空気年齢トレーサーとしての有用性も評価する。

今年度の研究概要

前年度の成果をに基づいて、既に得られている観測データと空気年齢推定の課題について、学術雑誌に論文を投稿する。また、これらの成果を踏まえて必要な測定システムの改良を行い、改めて過去のアーカイブ試料のどれから分析対象とするかを決定し、アーカイブ試料の分析を開始する。

外部との連携

東北大学(森本真司教授)
宮城教育大学(菅原敏教授)

課題代表者

梅澤 拓

  • 地球システム領域
    物質循環観測研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学,物理学
portrait