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自然湖沼における気候変動影響の観測と評価(令和 6年度)
Monitoring and estimation of the climatic change effects on Japanese natural lakes

予算区分
LCCACs等との共同研究事業
研究課題コード
2425ZZ001
開始/終了年度
2024~2025年
キーワード(日本語)
水温躍層,貧酸素,メタン,底質改善,湧水
キーワード(英語)
thermocline,hypoxia,methane,Sediment improvement,spring water

研究概要

猛暑日や集中豪雨といった気候変動に伴い、高水温化や底層の貧酸素化は多くの淡水自然湖沼でも常態化すると考えられている。その影響を少しでも軽減するため、まずは高水温化や貧酸素化の現状把握と在来魚を含む水生生物の減少や水質環境への影響監視が必要である。そこで、7道県の多様な自然湖沼を対象に、水温や底層溶存酸素量を高頻度で観測し、湖水の酸素代謝変数の温度依存性や気象依存性を評価し、短期的な貧酸素化要因を明らかにする。また気象場との相互作用を入れた湖沼ごとの水温構造や貧酸素水塊の過去再現モデル構築のため、過去の水温や溶存酸素量やそれに関連するデータの収集を行う。さらに、長期モニタリングデータを時系列変動解析し、高水温化や貧酸素化の要因となっている気象・水質因子を検出する。高水温化や貧酸素化の影響評価として、生物・ガス・栄養塩という3つの側面から重層的に評価するためのモニタリング体制の構築を行う。また高水温化や貧酸素化の緩和策・適応策についてその効果を実証するとともに、それらを実装した際の気候変動影響を評価できるための基礎データを収集する。適応PJ1, 2では、気候変動により顕在化する夏季の高水温化・貧酸素化・濁水流入等による湖沼生態系への影響のメカニズム解明と評価・予測を主たる目標としており、本申請課題はその基盤となるデータ収集整理を行います。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

2021年度から2023年度にかけて整備した7道県の7つの自然湖沼の観測体制を強化するとともに、これまで中心で行ってきた貧酸素化の発生要因の解析から、今後は貧酸素化の環境影響解析やその抑制策に資する、モニタリング手法や水質底質改善手法の構築に主軸を置いた研究を展開する。具体的には
1年目に、これまで得られた浅い湖沼の貧酸素化の発生要因(特に気象要因)の解析をまとめ上げ公表する。その一方で、貧酸素水塊が生まれ広がる動態やその影響を解析するためのモニタリング手法の構築を行う。
2年目には、1年目に開発したモニタリング手法を実地に投入し、貧酸素化が最も深刻な水域の特定とメタンガスなど貧酸素化に伴い湖沼から発生する温暖化ガスの発生状況のモニタリングを実施する。貧酸素影響を抑制するため、微生物燃料電池等による底質改善策の導入を行う。

今年度の研究概要

これまで得られた浅い湖沼の貧酸素化の発生要因のうち気象要因については、一般性のある正確な情報が乏しい。そこで2021年度から2023年度にかけて収集解析した、4湖沼の複数水域における溶存酸素濃度と水温の高頻度観測と近傍のアメダス気象データを合わせて解析することで、貧酸素化リスクを高める気象要因を詳細に解析し、その結果の論文化を進める。同時に貧酸素水塊が生まれ広がる動態やその影響を解析するためのモニタリング手法の構築を進める。具体的には、観測体制の敷かれている7つの自然湖沼を実地試験の場として活用しつつ、複数地点に投入可能な高性能で安価な湖流をモニタリングする装置開発や貧酸素化の影響により湖底に集積するメタンバブルの検出装置の開発を進める。

外部との連携

地環研を主とする次の7機関と連携して進める
1)釧路市教育委員会 マリモ研究室
2)秋田県健康環境センター 環境保全部
3) 福島県環境創造センター 研究部
4)茨城県霞ケ浦環境科学センター 湖沼環境研究室
5)栃木県保健環境センター 水環境部
6)滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 環境監視部門
7)鹿児島県環境保健センター 水質部

備考

本課題は、2023年度までの研究課題(2123ZZ001)を進展させるために2年間延長された課題である。

課題代表者

高津 文人

  • 地域環境保全領域
    湖沼河川研究室
  • 室長(研究)
  • 理学博士
  • 生物学,農学,林学
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担当者