- 予算区分
- 戦略的研究開発
- 研究課題コード
- 2428BA002
- 開始/終了年度
- 2024~2028年
- キーワード(日本語)
- 自然共生サイト,干潟,底生動物,生物多様性,デジタルツイン
- キーワード(英語)
- OECM sites,tidalflats,zoobenthos,biodiversity,digital twin
研究概要
自然共生サイトである阪南セブン海の森(大阪府阪南市)は、砂浜海岸に設置された離岸堤内部に砂が堆積・形成された再生干潟を有し、閉鎖性海域における「海岸エコトーン(干潟、塩性湿地、アマモ場など)の保全・再生」の効果を推定する上で優れたフィールドである。本研究では、自然共生サイトを含む閉鎖的な日本沿岸海域を対象とし、生物多様性の3つの柱である種の多様性、生態系の多様性、遺伝的多様性にフォーカスした研究を行い、デジタルツイン開発に資するデータベースを構築する。本サブテーマでは、内湾域に残存する干潟・塩性湿地群を主な対象とし、そこに生息する底生動物の種多様性形成・維持機構、代表的な生物種の生態情報、特に底生動物の食う−食われる関係(食物網)に着目した研究を実施し、得られた知見を生態系網モデルに提供する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
令和6年度
・既存資料を収集し、大阪湾周辺の干潟・塩性湿地の分布状況を把握する。
・コアサイト(阪南セブン、三陸、四国、有明海の各1地点、モニ1000干潟調査南紀田辺、盤州、松川浦)で統一手法による底生動物調査を行う。大阪湾周辺の4地点程度で同一の調査を実施する。
・阪南セブンで年4回程度底生動物を採取し、炭素・窒素安定同位体分析の結果から食物網構造を推定する。
・底生動物の遺伝子情報による種判別を行うとともに、博物館の収蔵標本・文献情報から過去の生物多様性に関するデータを収集する。
令和7年度
・阪南セブンにおいて月1回頻度でサンプリングを行い主要種の個体群動態等に関する生態情報を得る。
・コアサイトでの統一手法調査を継続し、大阪湾周辺の4地点程度で新たに調査を実施する。
・生息基質-群集構造間の対応について現地調査を行う。
・遺伝子・標本・文献情報データ収集を継続する。
令和8年度
・大阪湾周辺のデータを解析し、阪南セブンの生物多様性・群集構造の特性を可視化する。
・コアサイトでの調査に加え、統一手法調査を大阪湾以外(黒潮域、日本海を除く対馬暖流域および親潮域)へ広域展開する。
・生息基質-群集構造の対応を解析し、生物多様性の形成機序を予測しうる基盤データを整備する。
・遺伝子・標本・文献情報データ収集を継続する。
令和9年度
・広域データを用いて干潟群集の空間変動・環境特性を多変量解析で可視化し、自然共生サイトの生物多様性評価に資する基盤データを整備する。
・コアサイトでの統一手法による調査を継続する。
・前年度までの結果をふまえ、生息基質の違いが底生動物群集に及ぼす影響について、野外実験等で検証する。
・遺伝子・標本・文献情報データ収集を継続する。
令和10年度
・デジタルツインによるモデリングと連携し、沿岸域エコトーン再生の効果、機能を評価する。
・コアサイトで複数年取得したデータを用いた経年解析を行い、自然共生サイトにおける干潟生物群集の安定性/不安定性を評価・比較する。
今年度の研究概要
・既存資料を収集し、大阪湾周辺の干潟・塩性湿地の分布状況を把握する。
・コアサイト(阪南セブン、三陸、四国、有明海の各1地点、モニ1000干潟調査南紀田辺、盤州、松川浦)で統一手法による底生動物調査を行う。大阪湾周辺の4地点程度で同一の調査を実施する。
・阪南セブンで年4回程度底生動物を採取し、炭素・窒素安定同位体分析の結果から食物網構造を推定する。
・底生動物の遺伝子情報による種判別を行うとともに、博物館の収蔵標本・文献情報から過去の生物多様性に関するデータを収集する。
外部との連携
松政正俊(岩手医科大学)、菅孔太朗(岩手医科大学)、古賀庸憲(和歌山大学)、石田惣(大阪市博物館機構)、三浦収(高知大学)、栗原健夫(水産研究・教育機構)、橋本和正(水産研究・教育機構)、Albert Manuel(水産研究・教育機構)