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グローバル経済の成長に潜む資源利用の不平等・格差の計測と可視化(令和 6年度)
Detection of inequalities and disparities in resource use hidden behind global economic growth

研究課題コード
2224CD018
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
持続可能な資源管理,不平等,物質フロー分析,リモートセンシング
キーワード(英語)
Sustainable resource management,Inequality,Material flow analysis,Remote sensing

研究概要

高所得国・上位中所得国の経済発展は、国際的な資源利用の不平等・格差を生み出した。「持てる者」と「持たざる者」の拡大は、生命の危機や紛争等のリスクを秘めているが、資源利用の拡大による是正は、持続可能性の喪失を招きかねない。物質フロー指標の整備の進展は、不平等・格差の計測を可能としたが、社会基盤の形成に伴う物質の蓄積、消費、貿易、採掘と伝播する資源利用ネットワークの構造的理解の欠落は、将来に渡る不平等・格差の変化と影響の予見を妨げてきた。本研究では、【目的】資源利用の格差是正と持続可能性強化に資する指針・科学的目標の設計の為、国・地域別の活動量(採掘、貿易、消費、蓄積)と資源利用に起因する影響量(環境負荷、雇用・便益)の解析による不平等・格差の計測、多地域産業連関分析による影響の原因者と被害の主体との空間的乖離の可視化に取り組む。一連の連鎖を包含する解析モデルの開発とデータ整備は、資源利用ネットワークの構造的理解の支援、生産・消費の高度化・抑制等の対策を含む将来像の定量的検証を可能とする。本課題は、資源利用の格差是正と持続可能性強化の両立に向けた挑戦であり、完遂により科学的議論の礎が整う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、【目的】資源利用の格差是正と持続可能性強化に資する指針・科学的目標の設計に取り組む。この達成の為に、【課題1: 持続可能性の検証】グローバル経済の成長が生み出す資源利用の不平等・格差の計測、生産や消費の高度化・抑制化に資する対策の定量的検証に取り組む。また、解析の為に、【課題2: モデル開発とデータ整備】経済活動・資源利用・影響の連鎖の統合的解析を実現する物質フロー・ネクサスモデルの開発、及び、各種の活動量・影響量等の計測に取り組む。解析は、資源利用を4階層(採掘、貿易・流通、消費、蓄積)に大別し、国・地域別の活動量(採掘量、貿易量、消費量、蓄積量等)と資源利用に起因する影響量(採掘活動等に伴う生物多様性の損失、雇用・便益)の解析による不平等・格差の計測、多地域産業連関分析手法の1つであるGLIO(Globallink Input-Output model, 業績1)を応用することで影響の原因者と被害の主体との空間的乖離の可視化、そして、生産や消費の高度化・抑制化に資する対策の定量的検証に取り組む。

今年度の研究概要

資源利用の持続可能性の検証として、種々の統計や産業レポートを解析することで、過去から現在にかけて鉄鋼とセメント利用の不平等・格差がいかに変遷してきたのかを同定すると共に、対話型ダッシュボードとしての可視化を進める。また、ニッケルを事例に、採掘活動に伴う生態系影響の解析と格差・不平等の可視化に取り組む。ニッケルは、生態系豊かな国・地域での採掘活動の拡大が懸念されている資源の1つである。解析に際しては、対象期間を1990年から2023年に設定し、Landsat衛星画像の解析から得られたニッケル鉱山の土地改変面積とIUCNの絶滅危惧種数の空間分布データを用いて、種数面積関係に基づいて鉱山毎に採掘に伴う土地改変による絶滅危惧種の損失数を見積もり、ニッケ採掘に伴う生物多様性への影響評価を実施する。

外部との連携

分担者: 村上進亮(東京大学)、山末英嗣(立命館大学)、佐久間東陽(木更津高専)

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 上級主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
portrait

担当者